KIMUTATSU BLOG
木村達哉のブログ「キムタツブログ」

カテゴリー別アーカイブ: 本の紹介

kimutatsu

本のご紹介を

Posted on: 2012年2月14日(火) 22:03

 

 

 

 

 

 

 

 

なんかたくさんチョコレートを贈ってくださってありがとうございました。なかなか
すぐには食べきれないので、オフィスの冷蔵庫に入れて少しずつ食べます。

お気遣いありがとうございます。

先日、兵庫県の英語の先生方の前で講演を依頼され、話してきたのですけれ
ども、そのときにお逢いした新垣先生から本の紹介を増やしてほしいというリク
エストがありました。

今月、灘の生徒たちに紹介した本のコラムをこちらにもアップしますので、もしよ
かったらお読みください。

*********************

『向日葵の咲かない夏』道尾秀介

ストーリーの視点や展開が面白くて、なおかつ文章力のある小説が
三度の飯より好きなのです。それがあればとても幸せな気分に浸れ
ます。

展開がいくらエキサイティングかつエキセントリックであっても、文章
力がない小説は読んでいてイライラします。本屋大賞という賞があり
ますが知っていますか。全国の書店員さんが、その年に最も売りたい
本を投票して決定するのです。ところがそれを受賞した作品であって
も、「これが?」と思わずにはいられない文章の小説が思いの外たく
さんあります。確かに展開は興味深いかもしれないけど、こんなの何
の調査や資料がなくても、妄想だけで書けるじゃないかという本は薄っ
ぺらいし、実際そういう本の場合、表現も読者に迎合しているかのよう
な陳腐な言葉が並ぶことが多くて辟易してしまいます。以前、そういう
本が選ばれていて、がっかりしたことがあります。

また、芥川賞や直木賞を受賞しても、それで燃え尽きてしまって創作
から離れてしまう作家もたくさんいらっしゃいます。書く力があるのに
もったいないですよね。物書きの場合、文章を書き続けているからこそ
見えてくるものがあります。書き続けているからこそプロットの展開を
構成する力も文章を書く力も付いてくるものです。芥川賞や直木賞は
新人賞なのです。それがスタートラインなのに、よーいドンで燃え尽き
てしまっていてはナニヲカイワンヤなのですね。世の中には掃いて捨
てるほど作家がいるのに、売れっ子作家がほとんどいないのは、言う
なれば一種のデフレスパイラルで、著作業だけでは食っていけないか
ら他の仕事をする(タレント業など)→そっちのほうがメインになってくる
→創作から離れていく→文章を書く力が付かない→ますます売れない、
ということになっているのではないかと思っています。

「道尾秀介は裏切らない」という帯の文句を見てこの本を手に取り、レ
ジに持っていきました。浅田次郎先生や遠藤周作先生、宮本輝先生
の文章に慣れてしまうと、なかなかこれはという作家に出会えない上
に、自分の書く文章にさえ辟易としてしまうものです。その中で若手作
家の書いたこの本を推薦した理由は、「裏切らない」というスローガン
が決してオーバーではないと感じたからです。死後の世界を、予想を
覆す形でうまく、そして時としてはコミカルに取りこんでプロットを展開
させながらも、人間の深層心理をおどろおどろしく表現しているあたり
は、今までの作家にはなかったものではないかと思っています。今年
読んだ本の中では一押しの作品です。(木村)

********************

他にも面白い本はたくさんあるのですが、今日は道尾の作品を紹介しました。
まだ読んでない人はどうぞお読み下さい。

 
今日も僕のブログに来てくださってありがとうございました。
読書は全ての勉強の基本です。どの本を読めばいいかわからん
という人は、とりあえずこの本を買ってみてください。

 


投稿者: kimutatsu  |  カテゴリー: 本の紹介  

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『贈与論』

Posted on: 2012年2月11日(土) 15:51

 

 

 

 

 

 

向こう側に札幌西の島田先生と大麻の金山先生が写っていて、とてもいい感じ
になっていますが(笑)北海道の先生方から頂いた誕生日ケーキです。

僕はお酒を誰かと一緒にいただくのが大好きなので(自宅では飲まないように
してる)甘いのも好きと言うと意外な顔をされますが、大好きなのです。

特にケーキ&チョコレートな。あ、それとおはぎ。

止まらなくなるよね。ケーキバイキングなんかに行くと、胸焼けと闘いながらも、
人はどうしてこんなにも食べてしまうんやろうねぇ・・・というぐらい食べる。

というわけで、北海道でもケーキを頂きました。感謝感謝です。

 

 

 

 

 

 

 
卒業式で学校長がマルセル・モースの『贈与論』という本の話をなさいました。
いい話だなぁと思って聞いておりました。

経済活動って、基本的にお金が動いてナンボなところがあります。

お金が作られる前には物々交換が行われていましたが、それでは物々交換っ
てのは経済活動ではなかったのでしょうか。

それは違いますよね。むしろそこからのスタートだったわけです。そしてそこには
物だけでなく、心の交流もあったと言われています。精神的な価値をも交換する
ということです。相手への信用がないと交換できません。

難しい経済の話は置いておくとして・・・

この、誰かに物をあげ、そしてそれに対してお返しをするという、極めて当たり前
の行為が、実は現代では軽んじられているように思うのですね。

例えば挨拶がその1つです。

誰かから年賀状が来る。これは挨拶です。誰かから会釈をされる。これも挨拶
ですね。

それに対してお返しをしないとします。

年賀状の返事を書かない。お返しの会釈をしない。

もらいっぱなしだと、なにやら気持ち悪くてしかたがないという部分にこそ、その
人が持っている心の温かみがあるのだとモースは述べています。

そしてそれこそが経済活動の基盤(=信用)となるのだということです。

現代こそお互いに共同して生きていかねばならない時代ですし、そのためには
スムーズな贈与交換と、それに基づいたお互いの信頼を築くことが重要ではな
いかなぁと思っています。

挨拶ができない人が、大人でもたくさんいます。とても残念なことです。子どもた
ちが挨拶しないと注意するのに、自分はできないという人もいらっしゃいます。

何が良くて何が悪いか、価値観は人によって異なるのは言うまでもありません
けれども、しかし独りでは生きていけない我々ですので、贈与交換の基本であ
る挨拶は大切にしたいですね。

挨拶こそ、共同生活の仕組みを維持するための有効で、かつ非常に簡単な手
段なのです。

そう思って、今朝からずっとやっていたことがあります。7時間もかけて。

いただいた年賀状やお礼状の整理をしてみました。

すると・・・

年賀状をいただいておきながら、返事を出していない相手がお二人もいらっしゃ
ることに気付いて愕然となりました。まぎれてしまったんですね。

とても気持ち悪くなると同時に、本当に申し訳なくなりました。大変失礼なことを
してしまった。

生徒にはエラソウに「挨拶しなさい」と言っているのに・・・

相手の挨拶を無視する形になってしまいました。とても気持ち悪い・・・

僕は特にモースが言うような「心の温かい人間」ではないですが、しかしこんな
にも気持ち悪いものなんですね。でも多少の「心の温かみ」が残っていてよかっ
たと考えるべきなのでしょうか。

とにかく今から返事を書きます。

さすがに年賀状ではなく、寒中お見舞いという形で。

それとモースの『贈与論』ですが、ちくま学芸文庫から出ています。ハードカバ
ーは勁草書房から出ているのがあります。

 
今日も僕のブログに来てくださってありがとうございました。
挨拶、大切にしたいですね。

 


投稿者: kimutatsu  |  カテゴリー: 本の紹介  

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最近読んだ本をご紹介

Posted on: 2011年12月12日(月) 17:15

 

 

 

 

 

 

最近読んだ本を書いとこう。って本当はもっと読んでるけど、これはどうかなぁと
思った本は書かないでおきます。

読後感ってのは人によって違うので、本来的には全部書いたほうがいいし、僕
がツマランと思った本でも誰かにとっては良書になる可能性もないわけではない。

だけど全部書いてるとかなりの冊数になるので、そこは容赦してほしいなと。

①『夕映え天使』 浅田次郎
 この人の短篇ってのは泣かせる系が多いんやけど、この本も例外ではない。
 『鉄道員』同様に、人生の喜怒哀楽を心に沁み入らせたい人は必読です。

②『ひとは情熱がなければ生きていけない』 浅田次郎
 この人のエッセイってのは、本当にあの小説を書いてるのと同一人物なのか
 と思わせるぐらい痛快な江戸っ子口調なのですが、『勇気凛凛ルリの色』シリ
 ーズもその例外ではありません。エッセイ好きな人はどうぞ。

③『活動写真の女』 浅田次郎
 本当は写真の字が旧字体なのですが、僕のPCでは出せない。幽霊の女に
 恋をする京大生の話です。あぁ、しかし男も女も恋をするとこうなるんだなぁと
 おっさんは身悶えながら読みました。後悔するかもしれないのに、自分の心に
 正直に生きようとするのは、素敵なことなのでしょうが。

④『天国までの百マイル』 浅田次郎
 灘の生徒たちに推薦しました。もしかしたらここでもすでに紹介したかもしれん。
 医者になりたいなと思ってる人には是非とも読んでもらいたい。

⑤『シェエラザード』 浅田次郎
 昨年、『永遠のゼロ』を読んだときに感じたのと同じ感動を味わった。この本もま
 た戦争を背景にしているんですけど、時間の軸を戦時中と現代の両方に置いて
 いるという点では『日輪の遺産』に近いかもしれません。是非とも読んでほしい。
 いや、本当に感動した。この中では一番にお勧めします。

⑥『解夏』 さだまさし
 さださんのファンならば、彼の小説が彼の歌の歌詞とほぼ同じ構成になっている
 という点で、とても安定感があることに気が付くだろうと思うんです。浅田先生の
 小説に比べると(当然ながら)余計な文が散見されることもあるけど、それでもさだ
 さんは小説家としても一流と言わざるを得ません。彼の『眉山』もお勧め。

小説好きな木村なので今回は評論がないのですが、お勧めの6冊をご紹介しました。
最近は週に3冊ぐらいしか読めないので、数が少なくてごめんなさい。

 


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本のご紹介を

Posted on: 2011年10月26日(水) 20:47

 

 

 

 

 

 

 (星稜高校にて:セミナーの準備中)

浅田次郎先生といえば、笑いあり涙ありのピカレスク・ロマンシリーズで有名だが
今日ご紹介するのもその1つ。

『天切り松 闇がたり』のシリーズね。

第一巻が『闇の花道』
第二巻が『残侠』
第三巻が『初湯千両』
第四巻が『昭和侠盗伝』

この4冊を一気に読み干した僕は、同じピカレスク・ロマンシリーズである『プリズ
ン・ホテル』を再読したくなった。今確かラ・サールの丸山クンが読んでるはずだ。

どうして浅田先生の文章ってのはこうなんだろうね。読後の爽快感と、その対岸
なる嫉妬とも言えるような気持ちが、どの作品を読んでも僕の胸の奥底に、鈍色
に光りながら、残る。

こういう文章をいつか書けるようになりたいなと思いながら、第四巻を書斎に並ん
だ本棚のうち、小説を立ててある棚の上から2段目に戻した。

是非お読み下され。きっと6人の盗人たちに恋をし、その中の誰かになってみたく
なるはずです。僕は黄不動の栄治が大好きです。

 
(追記)次元大介もかなり好きです。

 


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遠藤作品を3冊ご紹介

Posted on: 2011年9月26日(月) 10:47

 

 

 

 

 

 

 

 

 
8月末に長崎に行ったとき、遠藤周作文学館を訪れた話は以前も書いたけど、
それから約3週間、遠藤先生の著作に埋没・・・でもないけど、読んでたのだ。

・『彼の生き方』 遠藤周作
ドモリで気が弱い福本一平は野生の日本猿の研究に身を捧げます。しかし
猿の餌付けに成功しつつある彼の前には無理解な資本が立ちふさがります。
人間ってのはいくら優秀でも、独りでは弱い。しかしその中のひたむきな生き
方、あるいは人の愛し方について取り上げた長編小説です。お勧め。

・『悲しみの歌』 遠藤周作
えっとね、うむ、この本を読むのは『海と毒薬』を読んでからにしてほしい。ア
メリカ兵捕虜の生体解剖実験事件で戦犯となった開業医のその後と、正義
の旗印をかかげて彼を追い詰める若い記者。エセ文化人たる大学の教授や
人を愛することしか知らないガストン(遠藤作品にはよく出てきます)などなど、
新宿は歌舞伎町を舞台に、様々な人物がまるで輪舞のように登場します。
人間の弱さや悲しさを見つめつつ、荒涼とした現代社会において「生きる」っ
てのはどういうことなのかを描いた長編小説です。お勧め。

・『私にとって神とは』 遠藤周作
悪いことをしたら神様の罰が当たるよと昔っから言われてきましたね。僕なん
て無宗教のカタマリみたいな家に育ったけど、それでもそう言われてきた。だ
けど偉そうに人を批判してるアナタ!アナタは誰かを批判できるほど、立派な
人なのかい?欠点だらけの人間が他の人間を裁くことなんてできっこないんだ。
それに神様だって全ての人間の営みを許してくださってるのにさぁ・・・なんてこ
とが書かれてる本。キリスト教だけを取り上げているわけではないので、遠藤
先生の宗教観を垣間見たい人にとっては、かなりわかりやすく取材形式で書か
れています。難しいかもしれないけど読んでほしいな。

というわけで、サインをくださいというお手紙をある学校の保護者の方から頂戴し
たんやけど、その中に「ブログで本の紹介をするたびに買って読んでいる人が多
いと思います。どんどん紹介してください」とあったので、今日はこの3冊。

この3冊以外にも浅田次郎先生の本を4冊読んだけど、それはまたの機会にご
紹介いたします。今週は長崎の先生が授業見学にいらっしゃる。楽しみだ!

 


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お勧めの本をご紹介

Posted on: 2011年8月9日(火) 21:30

 

 

 

 

 

 

朝から「ここは熱帯か」と言いたくなるようなグラウンドへ行って試合と審判をこ
なし、帰ってからは執筆という毎日を送っているのはもう書いた。

その合間を縫って大好きな読書に勤しんでいるのだが、前から言っている通り
小説家になりたい木村はここのところ小説ばかり読んでいる。

あまり偏らないようにと思っても、遠藤先生、浅田先生、向田先生に加えて最
近は荻原浩先生にも魅せられていて、その4人の作品を中心とした同心円を
描くように多くの作家の本を読んでいる。

で、以前から僕の文章とは全然違う文体だけど、こんな文章が書けたらいいな
と思いながらあこがれていた人の本をまとめて読んでみた。

綿矢りさという名前はすでに現象ではなくなったとは思うけど、でも文芸界では
綿矢と金原が芥川賞を受賞した際に唖然とした文士志望者は多かったはずだ。

言うまでもなく、そのうちのひとりが僕だ。

で、綿矢りさが17歳のときに文藝賞を受賞した『インストール』と、その3年後に
芥川賞を受賞した『蹴りたい背中』を読み返してみた。

こりゃ勝てませんな。完璧ですな。文体もさることながら、体言止めの手法とか
句読点の打ち方とか、何から何まできっぱり脱帽したくなる。

灘の職員室に数学オリンピックや化学オリンピック、物理オリンピックなどでメダ
ルをとった生徒たちの名前が書かれてた。この生徒たちは凄いんだろうなと思う。
凄いんだろうなとは思うけど、文系人間の僕にはその凄さがよくわからない。

でも17歳で『インストール』を書き、20歳のときに『蹴りたい背中』を書いた綿矢
は相当凄いと思う。その後の作品もおしなべて。

そしてその凄さがよく理解できるからこそ、正直言ってとても悔しい。自分の力の
なさを嫌というほど見せつけられたような気がして。

先日、通訳の柴原先生が「英語の能力を伸ばすためには母国語の力を伸ばさな
いといけない」と仰っていた話は書いたと思う。

僕の場合は英語力を付けるために本を読んでいるわけではないけど、とりあえず
のところは綿矢先生に近づけるように、たくさん本を読もう。

まだ読んでない人は読んで下さい。綿矢りさの『蹴りたい背中』と『インストール』。
向田先生や浅田先生の文章のような美しさはないかもしれないけど、凄さは感じ
てもらえるのではないかと思っています。

 
(追記)どうしてこの内容で上の画像を選んでしもたんやろ。名古屋の人たちです。

 


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お勧めの本をご紹介

Posted on: 2011年7月17日(日) 21:14

 

 

 

 

 

 

 
さて、明日からロンドンに行ってきます。仕事いっぱい持っていきますねんけど
ハイドパークやトラファルガー広場でレッツノート広げてきます。

最近読んだ本を書いておきます。

・『男どき女どき』 向田邦子
 向田さんの文章ってホントにいいなぁ。後半はエッセイになってる。

・『日輪の遺産』 浅田次郎
 最初はわかりにくいかもしれんが、最後で感動した。浅田先生はほんまに凄い
 文章書くなぁ。天才。灘の生徒たちに勧めた1冊。

・『「品格バカ」が多すぎる』 島村洋子
 これも灘の生徒たちに勧めた。人に品格を問われて萎縮すること勿れ。筆者
 の「一本筋の通った下品であったほうが品が高い」に賛成。

・『トンカチからの伝言』 椎名誠
 これはJR品川駅で買ったけど、新大阪までに笑いながら読み終えた。

・『深い河』 遠藤周作
 インドに関心がある人もない人も読んでほしい。人間ってのはホントなぁ。

・『鬼龍院花子の生涯』 宮尾登美子
 生徒たちには推薦したんやけど、このブログでは書いたっけ?忘れたけど。
 高知県が舞台になっていて、確か以前映画化されてたんやなかったかな。

・『半落ち』 横山秀夫
 警察官が妻を殺して自首してきたんやけど、空白の2日間については全く
 自供せず、完全には「落ち」ない人間の想いを取り上げた大作。名作。

・『逝年』 石田衣良
 ボーイズクラブのオーナー静香がエイズを発症した。彼女を愛する娼夫たちの
 心の葛藤を描いた作品。女ってのは何歳になっても美しいものだ。

・『桃尻娘』 橋本治
 エットオ、あたし、榊原玲奈でェす。学校は都立で、団地暮し、モチ非処女。
 マ、平均的女子高生なワケ・・・で始まる橋本治の名作。タイトルだけだった
 らなんか変な小説って感じやろうけど、橋本は天才。東大生たちよ、橋本に
 倣え。ツマラン東大生になることなかれ。

・『木漏れ日に泳ぐ魚』 恩田陸
 舞台はアパートの一室で、夜が明けたらアパートを出て別々に暮らし始める
 男女の会話をもとに進んでいくストーリー。最初の何ページか読んだときに、
 この人のファンになった。

・『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』 コナン・ドイル
・『シャーロック・ホームズの帰還』 コナン・ドイル
 ロンドンにいったらベーカーストリートを訪れて、ホームズと飲んできます。
 長編が苦手な人たちはここからスタートしてほしい。面白い。

というわけで、明日からロンドンです。午前11時半に離陸。いっぱい英語を楽し
んできます。生徒たちはドミトリーへ。僕はB&Bやホテル住まいです。

 


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お勧めの本をご紹介

Posted on: 2011年5月7日(土) 4:01

 

 

 

 

 

 

今年は読んだ本をここに書いていこうと言いながら、全く書けてへんやないか
というお叱りの声もなく、でも書いてないという事実は私のハートに重く重くの
しかかっているのだ。いや、本当に。

なんで書いてないかというと、結構あれは好評で、僕が読んでここに書いた本
がアマゾンの順位が高くなるらしく、それはそれでいいねんけど、やっぱり本を
探して読むというのが好きな僕としては、それでいいのか?と思ったりな。

というわけで、読んだ本でこれはよかったなというのだけ、ここにちょこちょこと
紹介していこう。全部書く必要もなかろ。

● 『陰翳礼讃』 谷崎潤一郎
 関西は今のところ計画停電とは無縁やけど、日本ってのはそもそも夜が明る
 過ぎるんやないかと思うこともあって、読み返してみた。陰翳論だけではなく
 懶惰について、恋愛及び色情について、旅について等、谷崎の視点を楽しめ
 る一冊。お勧め。

●『プリズンホテル春・夏・秋・冬』 浅田次郎
 春だけでも読んでみ。残りの3冊も読みたくなる。読書の習慣のない人たちは
 この本を読むと浅田先生の本をもっと読みたくなるのではないか。

●『人間について』 司馬遼太郎・山村雄一
 対談なんやけどね。司馬先生と医師である山村先生の視点が面白い。ただ、
 言いよどんでる部分も全て書き出してあるので、少し読みにくいけど。

●『神様からひと言』 荻原浩
 「おぎわらひろし」先生ね。「はぎわら」じゃないよ。長編小説ではあるけど、こ
 れは一気に読めるよ。この人の文章は、浅田先生の『プリズンホテル』なみに
 面白くて、また仕事や人生について考えさせてくれる。

●『木』 幸田文
 昨日も書いたけど、幸田先生の日本語は美しい。こういう文章に触れるとどう
 も自分の服の汚れが気になってしまう。草木に興味のない人でも、心の琴線
 に触れるところがある。是非読んでほしいな。

●『侍』 遠藤周作
 キリスト教が迫害されていたときに、ひとりの侍が宣教師とともに海を渡った。
 その侍はキリシタンだったわけではなく、日本の発展のためにお上から命令
 されて、致し方なく船に乗ったんやけど、そのためにそれまで育った谷あいの
 村とは全く違う「海外」を目にすることになるし、そのために悲哀を経験するこ
 とにもなる。当時のキリシタンの悲哀云々より、人間の心の深みを感じてほし
 いな。人間ってのは悲しく、だからこそ美しくもある。

というわけで、今日はこの6冊・・・というか9冊です。どれもお勧めなんやけど
読書の習慣のない人は『プリズンホテル』から、読書大好きな人は『陰翳礼讃』
か『木』、『侍』あたりからいってくだされ。

軽い小説が好きな人は『プリズンホテル』と『神様からひと言』がお勧めやけど
エッセイが好きな人は『陰翳礼讃』と『木』をどうぞ。

3時半に目が覚めたので、仕事します。

 


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1月に読んだ本をご紹介

Posted on: 2011年2月11日(金) 17:39

 

 

 

 

 

 

そういえば1月末に今年初の練習試合を行ったのですが、1-0で勝ちまし
た。相手は桜ヶ丘中学校。結構強い中学なので、自信にはなります。

1-0の試合は観てるほうには面白くないでしょうが、やっているほうからす
ればドキドキしながら、したがって試合後は達成感でいっぱいになる。

 

 

 

 

 

 

ピッチャーがちゃんと投げて、攻撃にまわったときはランナーをできるだけサ
ードに置くことを意識することです。

軟式のボールは飛ばないので、守備も大事です。

19日は六甲中学と、20日は帝塚山中学と練習試合。そして26日からいよ
いよ大会が始まります。1回戦は御影中学とです。1試合ずつ頑張ります。

 

 

 

 

 

 

ところで1月に読んだ本のリストアップがまだではないかというメールを頂戴
しました。そうなのですが、なにせ毎日書くことがたくさんあって。

では2011年1月に僕が読んだ本を書いていきます。

 1.『人間失格』 太宰治 新潮文庫
  なんで今年の1冊目がこの本だったのかというと、久々に読みたくなった
  こともあるけど、他の理由がある。年末の最後の本が白石一文の本だっ
  たが、それが「現代の『人間失格』!」と帯に書いてあったのよ。

 2.『大人のための残酷童話』 倉橋由美子 新潮文庫
  面白かったけど、読後感はあまり良くなかったなぁ。

 3.『静かな木』 藤沢周平 新潮文庫
  時代小説を読もうと思っていたら、ある人に「それなら藤沢周平ですよ」
  と言われたので読みました。次は長編を読みたい。

 4.『英語の質問箱』 里中哲彦 中公新書
  こういう英語の基本的な質問がつまった本はたくさんあって、たまに読み
  返したりすると面白いし、思わぬ気付きがある。お勧め。

 5.『レインツリーの国』 有川浩 新潮文庫
  有川さんの本は初めてで、書店さんのレジの横のワゴンに積んであった
  のを、中身を読まずに買ったけど、すっごく良かった。耳が不自由な人に
  も3パターンあるということも勉強になった。お勧め。

 6.『生き上手 死に上手』 遠藤周作 文春文庫
 7.『死について考える』 遠藤周作 光文社文庫
  内容的にはほとんど同じなので、どちらかを読めば遠藤先生の死生観
  が手に取るようにわかるだろう。

 8.『何処へ』 正宗白鳥 講談社文芸文庫
  遠藤周作先生が正宗白鳥を『死について考える』の中で絶賛されていた
  ので、再読してみた。難しい。舞台が日露戦争前後やから、時代背景を
  よく知らないと理解できない箇所もある。

 9.『ルポ貧困大国アメリカ』 堤未果 岩波新書
10.『ルポ貧困大国アメリカⅡ』 堤未果 岩波新書
  生徒たちに今月推薦したのはこの本。アメリカがいかに生き難い社会か
  がよくわかる。医療に関しては世界ランキング下位のアメリカ社会では
  いかに健康に気をつけねばならないかがわかる。それと学資ローンと軍
  との関係。普通の大学生がどんどんイランやアフガンに送られている現
  状は怖ろしい。僕は今は手放しで「アメリカの大学に行きたい」と言う生徒
  にアメリカを勧めることはできない。盲腸の手術に250万/1日もかかっ
  てしまい、国民健康保険がないアメリカでは、日本の生活ができない。

11.『わたしが・棄てた・女』 遠藤周作 講談社文庫
  恋をした女は哀しい。お勧め。

12.『輝く夜』 百田尚樹 講談社文庫
  百田さんと言えばデビュー作の『永遠のゼロ』が大ベストセラーになって
  12月にここでも紹介したんやけど、この本もいいよ。5編の泣ける恋話。
  この人、本当に上手い。場面設定が半端なく上手い。お勧め。

13.『思い出トランプ』 向田邦子 新潮文庫
  直木賞受賞作「花の名前」を含む短編集。向田さんの文章もいいよなぁ。
  でも「かわうそ」がいいんよなぁ。普通は短編集でも結構完結するんやけ
  どね、向田さんのは「ここで終わるの?」な感じがいい。お勧め。

14.『鉄道員(ぽっぽや)』 浅田次郎 集英社文庫
  何冊目の『鉄道員』やろうか。誰かにやったり、どこかに忘れてきたりした
  せいで、手元になかったのでまた1冊買って読み返してみた。僕はこの短
  篇集の中では「角筈にて」が一番好きです。お勧め。

15.『見知らぬ妻へ』 浅田次郎 光文社文庫
  これも短篇集なのですが、「見知らぬ妻へ」は上に挙げた『鉄道員』の中
  に収録されている「ラブ・レター」と設定がほとんど同じ。あれ~浅田先生、
  それはないでと思ったら、それ以外の短篇がまた心にぐっと迫ってくる。
  「スターダスト・レビュー」、「かくれんぼ」、「踊子」など、笑いとペーソスと
  が同居した人間模様をここまでビビッドに書ける浅田先生は天才やなぁと
  思う。お勧めです。

というわけで、1月は15冊でした。2日に1冊か、んー読むのが遅いなぁ。

と言いつつ、実は2月はなかなか忙しくてまだ数冊しか読んでへんのやけど、
またこんなふうにリストアップします。読んだら感想を聞かせてほしい。

 

 


投稿者: kimutatsu  |  カテゴリー: 本の紹介  

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読んだ本のご紹介を

Posted on: 2011年1月2日(日) 11:02

 

 

 

 

 

  

  
12月に読んだ本を紹介しますね。

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①『日本人の英語』
②『続日本人の英語』 マーク・ピーターセン (岩波新書)
①を冬休みの宿題にしたので、僕も一緒に読み返そうと思って読んだ。

③『YESのスイッチ』 関橋英作 (中経出版)
キットカットのコピーを作った関橋さんから送っていただいた本。

④『こころげそう』 畠中恵 (光文社文庫)
畠中さんの本は読んでみたかった。時代小説だけど現代風で面白い。

⑤『ボクは好奇心のかたまり』 遠藤周作 (新潮文庫)
読書癖がない人にはお勧めで、あちこちで笑えます。

⑥『酔って記憶をなくします』 石原たきび編 (新潮文庫)
人は酔っ払うとどういうことになるか・・・石崎君は読みなさい。

⑦『隣りの女』 向田邦子 (文春文庫)
向田先生の本は読みやすい。短編集です。女ってのは哀しい。

⑧『三島由紀夫レター教室』 三島由紀夫 (ちくま文庫)
久々に読み返したけど、この本は深い。面白い。

⑨『不道徳教育講座』 三島由紀夫 (角川文庫)
純文学作家の三島によるエッセーです。「教師を内心バカにすべし」等
不道徳な教育論について書いてあります。

⑩『沢野字の謎』 椎名誠他 (本の雑誌社)
⑪『超能力株式会社の未来』 椎名誠他 (本の雑誌社)
椎名誠、沢野ひとし、木村晋介、目黒考二による座談会です。ホントに
この人たちって・・・凄い!

⑫『この世の全部を敵に回して』 白石一文 (小学館)
現代版の『人間失格』と帯に書いてありました。いろいろ考えさせる一冊。

⑬『セクシャルマイノリティをめぐる学校教育と支援』 (開成出版)
加藤慶・渡辺大輔編著となっていますが、同僚の前川先生が著者のおひ
とりで、頂いたので読みました。

⑭『眉山』 さだまさし (幻冬舎文庫)
徳島が舞台になった小説です。さださんの小説は人生を考えさせてくれる。
お勧めの一冊です。

⑮『永遠の0(ゼロ)』 百田尚樹 (講談社文庫)
戦争について書かれた小説はあまり読んでこなかった自分を恥じました。
この本は是非読んでほしい。心から推薦したい。ベネッセ山田君も昨年
夏に読んで涙が止まらなかったらしい。この本はいいわ。

⑯『三人の悪党』
⑰『血まみれのマリア』
⑱『真夜中の喝采』 浅田次郎 (光文社文庫)
これって漫画か何かになったらしい。三部作ですが、痛快で面白い。ちょ
っと設定に無理があるけど、心から笑える。浅田先生らしく泣ける場面も
たくさんあって、この本も推薦します。

⑲『天使』 遠藤周作 (角川文庫)
短編小説集ですが、それぞれが遠藤先生の周囲で起こったことが題材
になっていて、あぁ、これって遠藤先生のことなんだろうなと思いながら
読んでほしい。気軽に読めます。

⑳『中日ドラゴンズ論』 今中慎二 (ベスト新書)
名古屋でアルク矢部君にもらった本。中日ファンは必読です。

21『爆笑!エリート中国人』 小澤裕美 (幻冬舎新書)
中国人ってどうしてあぁなんだろうと怒っている人には読んでほしいんだ
けど、そもそも国際人になるのは、「あいつ嫌い」とか言ってるんじゃなく
って、相手を知ろうとするところが大事なんよね。

22『巨頭会談』 ビートたけし (新潮文庫)
ビートたけしが小泉純一郎や羽生善治などの大物と対談しています。
駅前の古本屋で時間つぶしのために買いました。

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22冊読みました。お勧めは『眉山』、『永遠のゼロ』、浅田先生の三部
作、『隣りの女』、『三島由紀夫レター教室』、『不道徳教育講座』です。

1ヶ月22冊か・・・

まぁ、これぐらいやな。これ以上はもう絶対に無理です。

読むたびに紹介してほしいという人がたくさんいるんやけど、それじゃあ
ブログが毎日読んだ本にジャックされてしまうので、ご勘弁あれ。

 


投稿者: kimutatsu  |  カテゴリー: 本の紹介  

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