学校の教員ってのは皆さんが思ってる以上に噺家でなければならないものだから
話術をいかに磨くかとか、「間」をどう取るかというのも、結構大きい要素でしてな。
授業見学なんかをした教員が知ったかぶりをして「黒板の使い方がね」なんて言う
人がいるけど、そりゃアンタ違うでしょって感じなのです。
黒板なんてのは必要がなければ使わなくていいのだ。
問題はちゃんと生徒たちが教員の話を聞いている状態で授業ができるかどうかの
1点なんやけど、なぜか昔の価値観に振り回されてる人って黒板にこだわるよね。
黒板の使い方なんてのは二次的どころか三次的なんだ。
この夏に京都で一般の方向けにセミナーをやらせていただいたんやけど、そこに来
ていた西山某が録音をしてたらしく、それを毎朝聞いて話術の勉強をしてるらしい。
って、そりゃいいけど僕にもそのCDをコピーしてくれ、西山君。
若い頃は僕は授業に自信がなくてね。でもこのままじゃいかんと思って、よく自分
の授業を録音したり録画したりして聞いたり見たりしたものだ。
そうすると聞くに堪えない授業になっていて、まず多いのが不要な言葉なんやなぁ。
「えー」とか「あー」とか「あのぉ」とか。
気がつかないうちに「いわゆる」とか、例を挙げるわけでもないのに「例えば」とかね。
それと教員が一方的に喋ってばかりいて、生徒が全くといっていいほど参加していな
かったりとかすると、そりゃ居眠りもするわなっていう授業になっちまう。
西山某に聞いてみて面白かったのは「あんなに笑わせる木村先生のセミナーやけど
木村先生って黙ってる時間がかなり長いんですよね」ということ。
実はこれも話術のテクニックで、僕の周囲の若い先生方なら知ってると思うけれども、
沈黙ってのは話術を体得するための、相当でっかい鍵を握る。
ま、いずれにしてもだ。
こういう若い、30代前半の先生が僕の授業を録音して、真似ようと思って毎朝聞いて
るっていう、まさにその事実に心を動かされた。
初心忘るべからずとは言うが、僕もそのCDをもらって、自分の下手なところを反省して、
また授業に活かすことにしよう。
というわけで、西山君、コピーして送ってくれたまえ。頼むよ。