KIMUTATSU BLOG
木村達哉のブログ「キムタツブログ」

日別アーカイブ: 2018年2月27日

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東京大の二次試験分析をしてみた

Posted on: 2018年2月27日(火) 8:13

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東京大学の今年の問題をやってみました。毎年、春先に分析
を依頼されるので、それに備えてやっておりました。

ちょっと出題傾向は変わりましたが、大幅に受験生の心を揺
るがすほどの変化はなかったのではないでしょうか。

強いて言うなら、ずっと自由英作文を出題し続けてきた東大
ですが、今年は和文英訳を出題したということかなぁ。

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それでもこの本で言うなら、最初の練習問題で扱われている
程度の問題ですので、受験生も「お!和文英訳やん!」とは
思ったでしょうが、自由英作文をしっかり書ける英語力があ
る受験生にとっては、難度は低かったと思います。

以下、分析ね。

**********
大問1(A)大意要約
最終段落を中心にまとめればいいという点では易化(いか)。
昨年のほうが難度は高かった。

大問1(B)文補充・英語での要約
文補充は例年並み。英文要約はびっくりした受験生もいたか
もしれへんけど、この程度は簡単にこなしてほしい。全体の
レベルとしては並。

大問2(A)自由英作文
シェイクスピアの戯曲からの引用を読んで思った点を英語で
まとめる問題。そもそも読む技能がないと対処できないけど
合否当落線上にいるレベルの子なら大したことない。
レベルは例年並みとしよう。

大問2(B)翻訳型英作文
僕の本にも書いたけど、「よしとしているようでは」や「い
つのまにか」などの文言に振り回されないこと。そんなのは
和文英訳にとってはどうでもいい。高2進研模試レベル。

大問3リスニング
スクリプトを見て判断するしかないけど、(A)(B)がマサイ族
のシステムについて、(C)が巨大な波の仕組みと対策につい
てのスクリプトで、全部合わせると1700語ぐらいある。
1700語のリーディングもできない生徒は聞けないだろうな。
昨年との対比で言えば、間違いなく難化したと思うけれど、
それはあくまでもスクリプトを見ただけの感想ね。

todai2

大問4(A)整序英作文
並べ替え問題は久しぶりじゃない?ここのところ「文中の誤
りを訂正しなさい」やったから。解いてみたけど、ちょっと
めんどくさい問題が多いように思う。いつと比べるねんって
感じるかもしれへんが、2015年に出題された整序英作文と比
べると、問題数が4題になったのも含めてちょっと難化。

大問4(B)英文和訳問題
毎年のパターンと毎年の難易度。構造分析など要らないとか
テキトーにでもたくさん読んでいれば英語力は上がるとか、
そういうノー天気なことを言ってる教員に教えられている生
徒には対処できなかっただろうけど、しっかりと日本語を作
り上げることにこだわる先生に教わっている生徒にとっては
それほど難しくはなかったのではないか。昨年度対比で易化。

大問5長文読解問題
耳の不自由な女の人とその母親の心情を読み取るのは、普通
は子どもを産んだことのない受験生にとっては難しいと思う。
そういう意味で日本語で書かれたものでいいから、小説を習
慣的読んでおくことも必要やと思う。設問自体は難しくはな
かったと思うけど、上に書いた点で母親の心情が読み取れな
いと、和訳にしても並べ替えにしても、けっこう難しい。
どうかなぁ、昨年度対比でちょっと難化にしておこう。

todai1

全体としては昨年並みやと思う。ただ、これは毎年のことで
はあるけれども、これを90分(リスニング除く)で仕上げる
のは18歳や19歳の子にとってはかなりタフ。

その点で英語力も重要やけど、情報処理能力とか時間内でで
きるだけ多くの仕事を片付ける能力がない子は絶対に合格で
きない。東大に限った話ではないが、東大が一番顕著。

技能的に言えば、大学に入ってからのことを考えると、読む
力と聞く力のない受験生にはハードルが高い。

「4技能4技能って言うてるけど、一番大事なのは受信(読
む+聞く)する力やで」という東大の独り言が聞こえた気が
した。それも毎年のことやけど。

以上、今年も東大は楽しませてくれました。感謝。

 

 

今日もブログにおいで頂き、ありがとうございました。
作問する人たちを尊敬します。勉強になる。

 


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