4月28日。喉の調子が悪い。咳が出る。この時期のこれ系は毎年のことで、風邪なのか花粉なのかPMなのか黄砂なのか、それとももしかすると怨霊や妖怪が悪さをしているのか、あるいはそれらのブレンドなのか、なんともよくわからなくて気持ちが悪い。
ゴホンといえば龍角散。ぜん息持ちの私はいつも龍角散を愛用してきた。小さじで粉末を喉の奥に落とし込む。水を飲んでは台無しである。喉に粉が直接作用するのが龍角散だからである。妻は、よくそんなことができるなという顔でいつも見ているが、龍角散は期待を裏切らない。声が出ないときも龍角散はよく効く。
作家であると同時に噺家である私にとって、声は商売道具である。イチローや新庄がグラブを大事にしていた話を読んだことがある。彼らにとってのグラブは、私にとっては万年筆とパソコンと喉である。ホテルで泊まるときは必ず寝るときにもマスクをつける。バスタブに熱湯を張って扉を開けておくのも忘れない。そんな私にとって、黄砂はSNSにクソリプをばらまく連中よりも敵である。
今日はある会議があったのだけれど、編集者が「咳が止まらないのですが、これ黄砂ですよね」と。私だけではないのであれば、これは風邪じゃないなと少しだけ安心したが、それでは黄砂はいつまで続くんだろう。
日本政府はウラジオストクから釜山あたりまで黄砂をストップする巨大な幕かなにかを付けてくれないものか。ドームで日本を覆うと飛行機が海外に行けないので無理か。いっそタクラマカン砂漠やゴビ砂漠を緑地に変えてしまうというのはどうか。阪神園芸さんならやってくれるんじゃないか。いやもうむしろ偏西風を止める機械はないのか。
私が考えることは無茶苦茶である。
明後日は昭和女子大附属中学校高等学校で5コマもの授業をしなければならない。声が出ていればいいなと思いながら今日は教材を作ったが、1つできるたびに龍角散を喉に放り込んでいた。体がだるく、眠気がとれない。中島みゆきの「黄砂に吹かれて」は良い曲でカラオケでもお世話になったが、今はそれを口ずさむ気にもなれない。
木村達哉
追記
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