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選択肢

2025.05.05(月) 04:00

5月5日。せっかくのゴールデンウイークだからというわけでもこどもの日だからというわけでもなく、暇だし明日香村に行こうかと妻に提案し、午後から車を飛ばした。朝と夕方にさくらを散歩させるが、毎日同じ場所では彼女も飽きるだろうと、いろんな場所に連れていくのである。飽きているのは飼い主であるのだけれど。

年に一回か二回、こうして故郷に戻る。子どもの頃を思い出しては妻にあれこれ説明する。もしかしたら同じ話を何度も聞かされてうんざりしているかもしれないが、あの時代の思い出はそれでも語らずにはいられない。岡寺で転んで血まみれになった話、石舞台の上から飛び降りた話、勉強など全くせずに走りまわっていた。

小学生時代も中学生時代もそんな風だった。高校は大阪にある学校を選んだのだけれど、思えばそのあたりから人生が英語やら哲学やらに染まっていった。人生の準備をしなければいけない高校時代に走りまわっている阿呆はあまりいなかったが、私もその辺で眉間に皺を寄せることを覚えたのだろう。

この齢になるとよく思うが、あそこでもしも担任の指導どおりに奈良県の県立高校に進んでいたらどういう人生だっただろう。毎日の満員電車に揺られることはなく、ぜん息を悪化させることもなく、好きな野球や剣道を続けていたのかもしれない。しかし、教員にはならなかったかもしれない。

選択肢の連続である。どっちのオプションを選ぶかによって、その後が大きく変わるのが人生である。大学の学科を選ぶシートでは「英文学科」に印をつけたが、「日本文学科」を選ぶ選択肢もあった。あそこでどうして私は英文学科を選んだのだろう。それまでの読書歴からすれば絶対に日本文学科だっただろうのに。

あとから思えば神様がいたずらをしたのではないかと思う瞬間がある。人が選ぼうとしている選択肢を、違う違う!そっちじゃない!と言ってくださったが如し。自分が選ぼうとした選択肢にも幸せは待ち受けていたかもしれないけれど、神様にしたがったのも悪くはなかったのかもしれない。そう思いながら、遊び慣れた石舞台の近くで今日は過ごした。

木村達哉

追記
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