5月12日。遠藤周作先生と向田邦子先生および浅田次郎先生には勝手に私淑しているが、その遠藤先生。『白い人』で芥川龍之介賞を受賞した小説家だが、1972年のネスカフェゴールドブレンドCMに「違いの分かる男」として登場し、それを号砲にして次々とメディアにとりあげられるようになった。
その遠藤先生の小説にドがつくほどはまったのは小学4年生のとき。近くの書店で買ってきた『黒ん坊』という、江戸城の黒人が主人公の小説が彼との出会い。この名作がおそらくはタイトルゆえに絶版になっているのは日本文学界の損失である。以後、小学校卒業まで、彼の小説を授業中に読みふけることになる。
雅号を雲谷斎狐狸庵山人とし、キリスト教をテーマにした小説のみならず、超一流のエッセイ、ホラー、サスペンスを世に生み出した。音痴人間だけの合唱団や劇団、素人囲碁集団を結成し、そして晩年には「心あたたかな医療」活動に勤しむなど、亡くなるまで人生の矛盾に苦しみ、そしてそれでも人生を愉しまれたように私には思える。
4月に静岡県沼津市の加藤学園高校と富士市の英語塾KID’S ENGLISHで講演をしたが、その翌日にKID’S ENGLISHの主宰者である金谷先生に田貫湖まで連れていっていただいた。湖から見える富士山がいかに雄大であるか、この画像からおわかりいただけるだろう。
40代以後は渋谷を離れて柿生の里に移り住んだ遠藤周作先生の猿まねをするわけでは決してないが、妻とじっくり話し合った結果、今月末から富士山のふもとにて執筆活動に没入することにした。兵庫県に両親の墓がある。完全に移住するわけではないが、静かな場所に部屋を借り、富士山を見ながら作品を作りたく思う。
ただ、刻苦勉励となるかどうかは友人たち次第である。新幹線で一時間もあれば品川である。そのため、出版社の連中が喜んでおる。実にケシカラン。なんぴとたりとも吾輩の邪魔をすることは許されぬ。友人たちに告ぐ。絶対に邪魔をするな。絶対やぞ。酒なんか絶対に持ってくるなよ。
木村達哉
追記
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