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バグ

2025.05.21(水) 06:00

5月21日。アルクから依頼されて文章を書いているが、英語と日本語では使っている脳の部位が異なるのか、それとも私の能力不足なのか、脳がバグを起こすことがある。遠くから「違う違う!」と声がする。文章を読み返すと、英語が日本語ライクになっている。ああ違うと気づいて訂正する。

なんとか今年中にとおっしゃったアルク社員の声が耳の奥で響く。わかっとるわとひとりごちる。時間さえあればなんとでもなるという本ではない。文章の構成を、コア・メッセージとサポーティング・ディテールのバランスを考えながら、組み立てねばならないし、そもそもトピックが単調ではまったくよろしくない本になる。

『東大英語リスニング』を作る前、実はアルクにはいったん断られている。なんとかと嘆願するために、当時は永福町にあったアルク本社に足を運んだ。営業部や編集部の方々の前で思いを語る時間を頂戴し、『東大英語リスニング』は世に生まれた。当時のアルク社員に売れないと言われた本が22万部を突破したそうだ。

本というのは面白い。出版社から売れるので作ってほしいと言われたがきっとそれほどでもないだろうなと思った本はどれもまったく売れていない。学校や受験の現場を知っているかどうかは大きい。そこの知識がないと、初年度は売れるかもしれないが、次年度からはピタリと売り上げが止まる本になる。

今書いている本は、おそらくそれなりに受験生には使ってもらえるものになるだろう。それも毎年。書いてくれと依頼したのはアルクだが、アイディアは私である。クオリティーの高いものを作らねばならないなと書き始めてから数か月経った。共著者の仕事がとてつもなく速いので、遅筆を理由にはできない。

脳がバグる。しかし、言い訳にはできない。日本語の文章は誰にも依頼されていないのに書いている本であるが、これも我慢して書いているうちに出版の目鼻がつく日が来る可能性だってある。しっかりせなあきませんでと自分を叱咤しながら、怠ることなくインプットをしながら、今日もパソコンを叩き続けた。

木村達哉

追記
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