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暗唱の効用

2025.06.16(月) 10:00

6月16日。金曜日までに小説を一本仕上げないといけないのだけれど、これがかなり難しいテーマと分量になっている。「間違いから起こるストーリー」で、量がたったの2000字、原稿用紙に5枚。この条件で読者に「もっと読みたい、続きを読みたい」と思わせる小説をという課題である。

吾輩の人生は間違いの連続だが、かといって借金6000万を背負うとか模試でA判定だったのに第一志望の大学に不合格になるとかいったものでは、あまりにも展開がありすぎてショートショートにならないように思う。そもそも面白くない。間違いにもわくわくが必要なように思う。読者が一緒になって心配してくれる間違いでなければストーリーにならぬ。

ない頭を捻りに捻り、プロットを書き出しては捨て、また書いては捨てている。英語ならこう書くんだけどなというものが、日本語の小説では通用せず、四苦八苦している。毎週毎週、この齢になってよおやるわと自分でも思うが、始めてしまったのであるから最後までしがみつくしかない。

英語と日本語程度で二足の草鞋と表現していいのかどうかはわからないが、英語の本ばかり書いてきた吾輩にとって、日本語の文章のほうが難しい。It’s raining cats and dogs!は「大雨が降っている」だが、これでは受験の和訳レベルでしかない。そもそもどういう状況でこの発言があったのか、誰が誰に対して叫んだのかによって日本語の表現は異なる。

吾輩、英語で書くほうが得意やな。
最近、そう思っている。おそらくだが、今まで暗唱した文章の数は英語のほうが圧倒的に多い。中学のNew Prince English Courseという教科書は3冊とも暗唱したが、それ以来ずっと今まで暗唱の人生であった。日本語の文章には英語以上に触れてはいるが、暗唱したものは、恥ずかしいことに、無い。

その点ではいろんな英作文の問題集があって、吾輩もラ・サールの丸山先生と一緒に『ユメサク』という、日本語の加工に特化した英作文の本や、通訳の柴原先生と『英作文~対談ならわかりやすいかなと思いまして』という対談形式の英作文の本を出したりしてきたが、結局はプロレベルの文章を書くとなれば、暗唱が一番の勉強法であろう。

などと書いているものの、とにかく課題の締め切りが金曜日なので、今はプロットである。暗唱はボディーブローのように効いてくるのだろう。が、今は「じわじわと」では間に合わぬ。

木村達哉

追記
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