6月22日。今月の課題は厳しかった。原稿用紙5枚(たったの2000字)以内の小説を書いて提出というものである。授業があった10日からずっとプロットを考えていた。その量で登場人物を何人も設定するのは不可能だし、起承転結なり序破急なりを作ろうにもそれぞれが少なくなる。
今日の正午が締切だったのだが、静岡までのドライブ中もずっと考えていた。主人公、場面、季節…考えることが多くなればなるほど5枚には収まりそうになかった。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるというので書き出してみたが、一向に当たらぬ。吾輩の能力では無理かもしれぬなと肩を落としていた。
が、ようやっと朝方に神様が降りてこられた。
3時前だったか、ベッドから抜け出して書きだしたが、一気に完成させた。分量は1959文字。WORDの文字数を表す数字を見て右手を握りしめた。大谷翔平のように。それが午前4時過ぎ。
とても貴重なことを大学では教えてくださる。こりゃあいいメソッドを聞いたわいと喜色満面で原稿用紙に向かうのだが、はて、どうすればいいんかいのと脳が動きを止めておる。右手は一向に動かぬ。手元のメモ帳には「こうやって書くべし」が列挙されているが、それだけではまったく作品にならない。
ある著名な小説家が、売れようと売れまいと、仕事があろうとなかろうと、毎日必ず書き続けてくださいと仰った。小説を、である。書けば書くほどに木村さんは上手くなりますから、と。忘れておったわけではないが、忙しさにかまけて、ここのところまったく書けていなかった。
静岡の部屋も少し落ち着いたことでもあるし、ここからはせめて毎日書いていこう。ジブリの宮崎駿監督が、努力をするのなんて当たり前なんだよと仰っていたが、努力をすれば成功するかというと決してそんなことはない。しかしながら、かと言って努力しなければ確実に失敗する。ここはひと踏ん張りである。
木村達哉
追記
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