BLOG / ブログ /

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 絶版、からの復活

絶版、からの復活

2025.06.26(木) 11:00

6月26日。先月だったか、ベネッセの方々が甲子園までおいでになり、吾輩と教育の話をした。なんのためにいらっしゃったのかなと思いながら教育譚に花を咲かせていたのだが、本題は他にあった。ベネッセから出した『Listening & Speaking Training Seminar』を絶版にするとのことであった。

そんなに売れていないのかと思ったが、そうではないようだ。今でも毎年数千部は出ているのだから、バカ売れではないにしても、この業界では少ないほうではない。同社の方針で、本からは撤退されるということだろう。そもそも出版社ではないのに本を出してくださったのであるからしょうがないのかもしれない。ただやはり、しょんぼりした。

その旨をFacebookに書いたところ、多くの方々からご連絡を賜った。なんで毎年採用している本を殺すのだ、来年度からどう指導すればいいのだ等という恨み節ばかりであった。そうは言っても、物書きにはどうしようもない。なかには直接ベネッセに苦情を申し立てた先生方もいらっしゃるらしい。

吾輩、今まで幾度となく絶版の憂き目に遭ってきたが、売れている本の絶版は初めてで、やはりショックであったのは言うまでもない。なんとかならんものかなと思って過ごしていた。

すると、思わぬところから救いの手が入った。

吾輩の本を何点も出してくださっている出版社から連絡があり、うちから出しませんかということであった。権利の関係でイラストやデザインは変わるだろうけれど、文章は吾輩に権利がある。したがって、出してくれる出版社があるのなら、今まで使ってくださっている学校にもご迷惑をおかけすることはないように思う。

死にそうになっている我が子が息を吹き返した。ありがたいことである。魂を込めて作った本が死ぬのは耐えがたい。そういうことであるから、採用してくださっている方々はこれ以上ベネッセに苦情を申し立てることのないようにお願いしたい。むしろ、新しい出版社に対して、ベネッセはデータを提供するなど協力してくださっている。

会社が決定すればこちらは伝えられるだけなのだな。今回はそういうことを学ぶことができた。物書きというのは不安定な舟の上に立つ存在であることもわかった。ただ、ベネッセを恨むことはない。企業は企業の方針というものがあろう。同社とはこれからもいい関係でいたい。同時に、我が子を救ってくれた出版社には心から感謝申し上げたい。詳細はメルマガその他で書く。

木村達哉

追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を火木土の週3通無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。英語勉強法について、成績向上のメソッドについて、いろいろと書いています。家庭や学校、会社での会話や、学校や塾の先生方は授業での余談にお使いください。