6月30日。アルク編集者Kさんからご連絡を賜った。拙著『東大英語リスニングSUPER』が増刷になりましたとのこと。毎年一回か二回の増刷がかかっていて、すでに22万部ほどのセールスがあるということである。東大や外国語学部の多くの受験生や英語が好きな大人の方々にご愛読ご愛聴していただいているのだろう。
半年前に出した『まるまる反復英文法総復習』は半年で1万部以上の学校や塾でご採用ということだし、なんだかこう書くとウハウハで悠々自適なる作家生活を送っているかのように思われてもしょうがない。実際のところは青息吐息で締め切りと闘い、編集者諸氏と戦い、自分の能力不足に苦しんでおるのだが。
そうは言っても『ユメタン』にしても『東大英語リスニング』にしても『まるまる』にしても増刷を毎年毎年途切れずにいただいているのだから、感謝せんわけにはいかん。それだけでは食っていけんとは言え、読者がいらっしゃらねば物書きは飢え死にしてしまう。増刷の連絡があるたびに朋友のMr. Evineに飲むぞ!とMessengerを送り、ビールを飲みながらありがたいなと言ってばかりいる。
売れない本もたくさんある。否、売れない本のほうが多い。吾輩の場合、93作品を創り出してきたが、すでに絶版となり、この世から姿を消した本が何作もある。出版社からなんの連絡もなく、読者の方から「これこれこういう作品はどうしたら手に入るのですか」と聞かれて初めて絶版を知ることもあるのだ。
物書きなんてのはそういう点で不安定極まりないな。しかし、死んでしまった本を含めて、どの本も一生懸命に創作したものである。売れている本は大切、売れない本はもういいやというわけではない。売れていない本も大切な我が子である。
増刷がかかった『東大英語リスニングSUPER』はけっこう優秀な子どもであり、吾輩の生活をそれなりに支えてくれている。企画をしたときはアルクに断られた経緯があるというのに、今となればアルクも感謝していることだろう。物書きとしては、しかし、次作こそ自分の代表作にという気持ちは常に持っている。
執筆している何冊かの本が、この優秀な子ども以上に優れた評価を賜ることができるよう、誠心誠意心を込めてペンを走らせて、というよりPCのキーボードを叩いている毎日である。
木村達哉
追記
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