7月6日。日本を離れて六日目。飽いてきたわけではなく、むしろもっといたいのだけれど、残してきた家族のことが気になる。さくらを預けているのは獣医さんなので健康面では心配していない。吾輩と過ごしているときよりも健康的かもしれん。それでも寂しくしているのは間違いない。
6月にもしばらく預けたことがある。五日間か六日間離れただけだった。が、引き取ったときはキュンキュン鳴いておった。モノ言えぬ彼女は寂しいとも苦しいとも言えず、ただひたすらに耐えていたのだなと思うと切なくなった。こちらも遊んでいたわけではないのだと話しかけた。実際には遊んでいたので、余計に申し訳ない気持ちになった。
犬は犬であることが仕事である。あるコピーライターの言葉だが、さくらはいい仕事をしてくれる。他の犬を見たらわんわん吠えるのも、おそらく吾輩と妻を守ろうとしてくれているのだろう。膝の上でないと眠れないさくらのせいで仕事がはかどらんこともあるが、それも彼女なりの仕事なのであろう。こちらは彼女の温もりで心が癒されているのだから、締切ぐらいいいじゃないかという気持ちになる。
海外がなんでもかんでもいいというわけではないが、ことペットに関しては日本より寛容である。カフェ、バス、フードコートなど、いたるところにペットの犬たちがいる。昨日などはインタナショナルなブティックがひしめいている建物に、ノーリードで歩いている犬がいた。それを咎める雰囲気は少しもなかった。
日本ではほとんどの建物がペットお断りである。ホームセンターだけは何故かペットを連れて入ることができるのが暗黙の了解だが、それ以外の場所では、特にスーパーやコンビニ、フードコートなどの食べ物関連施設では連れて入ることが認められていない。人間と動物の共生ができておらん。
日本人は動物が嫌いなのかというとさにあらず。ペットオーナーは極めて多い国である。休みになれば、動物園や水族館はどこも賑わっている。動物アレルギー云々言うのであればホームセンターも動物を連れて入れないはずなのに誰も何も言わん。潔癖症の方が多いのか、もしくは衛生に対して過敏な方が多いのだろうな。
吾輩が首相になれば、綱吉になる。首相になることはないと安心しているだろ。お笑い芸人が大阪府や宮崎県の知事になったり作家が東京都知事になったりするのが日本である。なにがどうなるかわからんぞ。吾輩が首相になれば、日本を動物や鳥や花や木でいっぱいにする。それだけは断言しておく。
木村達哉
追記
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