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まだまだやな

2025.07.22(火) 10:00

7月22日。通っている大学で授業があり、嬉々として出かけていった。提出した作品には自信があり、べた褒めではないにしても高く評価していただけるんじゃないかと思っていたからだ。教室には一番乗り。いつもどおりである。早いですねと事務局の方がおっしゃる。最前列に腰を下ろす。

ひとり、またひとりと学生たちが入ってくる。吾輩は江國香織さんの小説を読みながら授業が始まるのを待っていた。すでに何度も読んだ作品。日本語の使い方、表現の豊かさ、物語の視点など、小説を書く側にまわるまでは意識していなかったことがたくさんあり、唸ってばかりいる。やはりプロはプロである。

小説家の先生がいらっしゃったようだ。教室の外で彼と事務局のSさんが話す声がする。今日こそ褒めてもらえる。心が浮き立つのを感じる。褒められたことのない吾輩であるから、今日は特別な日となるだろう。先生が教室に入ってこられた。いつもどおりの笑顔である。

次は木村さんの作品ねとおっしゃった。背筋が伸びた。
授業前に学生たち全員に、どの作品が一番よかったかを尋ねられた。吾輩の作品がベストだと答えたのが教室の約半数。我々はアマチュアではあるが、評価してもらえたんだなと思わず表情が崩れた。が、それまでだった。

エンディングは痛快でいいですね。それと教師と生徒の会話のところが非常にいい。この展開は素晴らしい。でね…

その後は欠点を指摘し続けていただいた。気づかなかったことばかりである。いや、そこは……と自分の「つもり」を述べるが、それは木村さんにはわかっても読者にはわかりませんよね、と簡単にあしらわれた。フルボッコというわけではないが、自信があったぶん、力石徹に敗れ去った矢吹丈の気持ちになった。

まだまだやな。しかしまあ4月に始まったばかりやからの。しょうがなかろ。もっと勉強せんかいというこっちゃな。独り言ちながら地下鉄の駅へ向かった。悔しいのは悔しいが、べたべたに褒められるより成長する気がする。

木村達哉

追記
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