7月26日。今日は特になんの用事もなかったので、執筆や読書、資料作りに勤しんだ。灘校時代も夏休みは45日ほどあったが、部活動や日直があり、なかなか用事を入れられなかった。退職の際にはそれなりに勇気が要ったが、今のところは辞めて正解だったなと思っている。人間は自由が一番の財産だ。
ただ、退職された方ならおわかりだろうが、自由と暇とは別物である。やりたいことがあってそれに没頭できる自由は幸せだが、何をしていいのかわからんのは不幸ではないか。くだらんSNSをスクロールして、わしは何をやっとるんやと思うようなのでは退職した意味がないのではないか。
吾輩の場合、文章に没頭したかったから辞めたのであって、教職が嫌だったわけではない。これがやりたいという明確なる目標があった。最近は50歳代の先生方と話をする機会が多いが、「辞めて何をするねんと思っています」という方々には「辞めんほうがよろし」と言うことにしている。
しかも、吾輩の場合はラッキーなことに英語以外なんもできんかった。野球のノックはそれなりにできるが、今となってはそんなものできたってどうしようもない。退職後は真剣に絵と日本語、ゴルフや楽器などに打ち込むことができるようになった。つまり「できること」が増えた。これは財産である。
昨年衝動買いをしたウクレレだが、基礎トレを毎日しているうちに弾ける曲が増えた。ゴルフは80台でまわれるようになった。絵と日本語はプロに教わろうと思って学校に通ったが(日本語は現在進行形)真剣に向き合うと自分でもスキルが上がるのを実感する。絵の専門学校に通わなければ『あなたのちからになりたくて』は出せなかっただろう。勉強は素敵だ。
退職を考えている人たちにひとつだけアドバイスをするとすれば、辞めたあとにすることを五つほど決めておかれることだ。「ドイツ語を勉強しよう」「ピアノを習おう」などどんなことでもいい。そして、勉強したからには、つまりインプットをしたからには、それなりのアウトプットをされることである。
外国語を勉強するならそれを使って海外旅行を楽しんだり、楽器であれば然るべき場所で発表したりするといい。単に部屋で勉強しているだけだと長続きせん。立花隆先生の名言どおり、すべてのインプットはアウトプットをもって完結するのである。
と、えらそうに書いたが、吾輩ももっと頑張らなあかんな。インプットはそれなりにしとるが、まだまだ。数えで62歳。まだまだ時間はあると思っていたら死んでもおたということもあろう。せっかく生まれてきたのだから、せいだい人生を愉しむために勉強をし、アウトプットしよう。
木村達哉
追記
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