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お盆と日本人ファースト

2025.08.16(土) 06:00

8月16日。お盆が終わり、ご先祖様が天へと帰っていかれた。お盆、入口は言うまでもなく13日午前である。迎え火を炊いてご先祖様をお迎えする。御霊は16日の午前中まで自宅におられる。その日は送り火を炊いてご先祖様をお送りする。

「また来年、この火を目印にお戻りください」 と、願いを込めて灯す炎は、来年の再会を約束する道しるべである。

と書いたが、実際にはマンション住まいの人も多く、迎え火や送り火をする家庭は少なくなったのではないか。せめてもと墓に参って手を合わせるようにはしているが、拙宅も然りである。

こういった火の慣習はおそらく日本独自のものだろう。東京圏、東海圏、関西圏の三大都市部に人が集中する現代の日本である。あと20年もすれば、昔はお盆になると火を焚いてねと言われるようになるのかもしれない。現に、僧侶を迎えてお経を唱えてもらう世帯がいったいどれぐらい残っているのだろう。

子どもの頃、お盆はご先祖様を迎えないとばちが当たるから家にいるのよと教えられた。父は次男で母は末っ子だったから、こちらからそれぞれの故郷である明日香村と大阪に行かねばならなかった。お坊さんのお経の間はずっと正座をし、終わったら大人たちの退屈な会食につきあうのが慣例であった。友人たちも似たようなもので、お盆と言えば帰郷というのが決まりになっていた。

ある時期から、お盆なのに海外やリゾート地に家族旅行をする人たちが増えた。お正月も含め、日本の伝統や慣習が目に見えて変容していった。一方、昭和時代にはなかった行事、ハロウィンなどが入ってきた。自然に変わっていく姿こそが日本なのだろう。そして日本は右と左に、そして上と下に、薄汚く分断した。

先の参議院議員選挙で日本人ファーストを掲げた政党が躍進した。細々した政策は存じ上げないけれど、また懐古主義の浸透とも言わないにしても、なんだか昔の日本はよかったなと思っている人たちも多いのではないだろうか。今よりずっと貧しかった日本がよかったなんて変な話だが、豊かになって十代の子どもたちでさえ10万円以上するおもちゃを持っているこの国はいったいどこに向かうのかなと、両親や祖父母たちと笑顔を交わした子ども時代に思いを馳せながら考える日となった。

木村達哉

追記
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