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将来が見つからない

2021.10.16(土) 09:00

いろんな学校で講演をしますと、質疑応答で時に「将来の夢が見つからない」という高校生たちに出会います。今の高校生とか中学生って可哀想なんですよ。成功している大人、余裕のある大人が周囲にあまりいないからです。それなりの大学を出てもえらい奴隷のように働かされるねんなという大人が大半となり、ろくに本も読めず、生活に余裕がありません。勉強しても行き着く先はここか…と思うと勉強に身が入らないかもしれません。

でも、将来の夢は周囲の大人がどうであれ、自分で見つけるものです。誰かに教えてもらうようなものでもありません。なんとなく学校を出て、なんとなく大学に入り、なんとなく就職するより、しっかりと自分の人生を見据えることでしょうね。そのほうが幸せであるように思います。

「将来の夢が見つかりません」と言われたら、僕はいつも「見つからないってことは、見つける努力はしているわけ?」と答えます。見つけようとさえしていないのに「見つからない」というのは矛盾していますからね。ところがほとんどの生徒が「どうやればいいのかわからない」と言います。探してもいないものが見つかるわけがありません。

なんとなくですが、最近は学校と自宅の往復しかしていない「マジメ」な子が増えているように思われます。そこからはみ出すとしても、たかだか塾ぐらいでしょうか。だからいい大学を出ても塾の講師になるという子も少なくないそうです(いや、それが悪いと言っているわけではなく、それしか思いつかない子が多いという意味)。自分の将来を考えるためには、できるだけたくさんの選択肢を見ておかねばなりません。職業だけで言っても無限にあります。その点では「マジメ」では困ります。

図書館で本を読むのもいいし、映画を見るのもいいでしょう。ひとりで街に出ていってぶらぶらしながら働いている人たちを眺めるのもいいし、職業辞典を開くのもいいのではないでしょうか。ひとりで東京に行けば、たくさんの働く人に出会えます。ひとりひとりに自分を代入してみてください。学校と家をつなぐレーンから出ないと、将来の選択肢が学校の先生、塾の講師、親の職業ぐらいしかなく、自分が本当に好きなもの、自分がわくわくするようなものにたどり着けないかもしれません。

こちらの動画で話しましたが、別に医者になるのがエライわけでもないし、弁護士になるのがスゴイわけでもありません。いろんな職種の人がいないと、社会は成立しません。お店をやる人がいるから医者は食べていけるのです。ホカ弁屋をやる人がいるから、遅くまで働く弁護士は助かるのです。その点で、みんなそれなりにスゴイんですよ。僕たちの社会にはいろんな職種が必要なのです。あなたはその中のどれを選びますかということなんですよね。

なにに向いているのかはどうでもいいことです。僕も教員に向いているとは思えないけれども、33年間も勤めていました。なんでかって、人としゃべるのが好きで、本を読むのが好きだからです。子どもが好きかと言われると困りますが、子どもにしても大人にしても、人としゃべるのが好きなのです。この「好き」という感覚は大事なんじゃないかなぁと思っています。動画で話したとおりです。

いずれにしても、探そうとしなければ見つからないものです。コロナ云々は関係なく、いろいろと見つけようとしてみてください。自分がいろんな職場で働いている姿をイメージし、自分の意外な嗜好性を楽しんでみてもいいかもしれませんね。

木村達哉拝