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根尾選手に思う

2022.06.01(水) 10:10

メルマガのどちらかに書きましたが、今月が終わると一年の半分が終わったことになるんですね。月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり、です。それにしても旅の速度が速いように感じるのは、僕がもういい齢だからでしょうか。

最近は、というわけではないのかもしれませんが、いろんな場面で前例が通じなくなっているなぁと感じることが多くなりました。たとえばプロ野球です。ドラゴンズの根尾君がピッチャーとして2試合に投げ、ナイスピッチングを披露しています。素晴らしいことですね。

「野手に専念させるべきだ」「打撃が中途半端になる」なんて言っているのがいて、いかにも前例主義の日本人らしいなと思って見ています。前例に従えばそうなるのでしょうが、だいたい高校時代に投手で4番という人があんなにも多いのです。もしかしたら今までが間違っていたのかもしれません。もしくは野球人口が激減している中、これから根尾君タイプがプロでも一般的になってくるかもしれません。根尾君がスタートだとすれば、歴史の転換点に立っているのです。わくわくしませんか。

以前、こういう教え子がいました。灘校での話です。
国際物理オリンピックと国際化学オリンピックに両方選ばれたんです。片方が東南アジアの、もう片方が南米の大会だったのですね。国際物理が終わると、空港から南米に飛んで、国際化学に出ねばなりません。長期にわたる公欠が必要となりますでしょ。

公欠のハシゴをさせてくださいと言ってきたので、学年としては大喜びしたのです。ところが、当時の教頭が、東南アジアが終わったらそのまま南米に飛ぶなんて大変だし、そもそも両方出るなんてどっちつかずになるよと言ったのです。皆さんが教頭ならどうしますか。

当時の担任の先生が「そりゃ、教頭先生には両立出来ないでしょうね。でも、この生徒にはできるかもしれないんです。あなたの能力を基準にするのは間違いです」と言って、結局は公欠を認めさせたんですよ。当該生徒はどちらの国際オリンピックでも満足のいく結果を残して帰国しました。

前例や年寄りの狭い価値観では計れないことだらけです。プロ野球もそうです。すべて根尾君が決めればいいのです。大谷君という前例を特別視するのではなく、今のプロ野球選手たちは「投手で4番」を経験し続けてきたのですから、前例主義者による「プロは甘くない」なんてたわ言に従う必要はありません。僕たちは新しいスターに触れて、自分たちも頑張らないとなと刺激を受けるのです。古い価値観はもう要りません。

木村達哉拝