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「幸福度」ランキング(日本総研)に思う

2023.01.20(金) 12:00

ある経済学者が幸福度について言及しておられたので、都道府県別の幸福度を測る尺度である「幸福度」ランキング(日本総合研究所)をチェックしてみた。2年ごとに発表されるもので、今から書く順位は2020年度のものである(が、2022年度もほとんど変わらないだろう)。

栄えある第1位は福井県。4年連続1位である。すべての指標のうち、「仕事」と「教育」の指標が第1位で、「文化」指標が38位になっている以外は概ね上位にランキングされている。第2位が富山県、第3位が東京都である。以下、石川県、長野県、滋賀県、山梨県、山形県と続くのが幸せな「上位層」である。

一方、最下位は高知県。「健康」が最下位なのと、「仕事」「生活」も44位。「基礎指標」も最下位となっている。ビリから2番目が大阪府。ビリから3番目が沖縄県。沖縄県は「仕事」「生活」「教育」が最下位なので、沖縄県民の多くは全ての国民のなかで最低の生活を送り、仕事をし、教育を受けているということになる。以下、青森県、長崎県、福岡県、和歌山県が不幸な「下位層」である。

が、こういったランキングを見るときは然るべきリテラシーが必要である。

こういったランキングには常に指標(Indicator)がある。複数のインジケーターによって計測し、順位を決めているのである。そのインジケーターは時としてオーガナイザーに有利に働くものもあるので、完全に信じ込むことはナンセンスである。

たとえば大学のランキングにしても、もっと言うなら模試の判定にしても、それなりのインジケーターで計測して数字なりAとかBとかいった記号なりを付けている。そのインジケーターが信頼のおけるものかどうかを判断するのは、あくまでも個人なので、リテラシーを持っていないとテレビの言うことを頭から信用する老人と同じことになりかねない。

世界幸福度ランキングでジンバブエがアメリカ合衆国より幸福度が上というデータが発表されたこともある。ジンバブエといえば経済破綻したアフリカの小国であり、客観的にUSAより国民が幸せかと問われれば多くの人は首を横に振るだろう。幸福度ランキングというのはつまり、そういうものなのだ。

福井県や富山県も確かに上位に君臨するにふさわしい県だろう。ただ、私の言いたいのは、こういうランキングを完全に信じ込む愚である。高知にしても大阪にしても、もちろん沖縄にしても、幸せに暮らしている人たちはたくさんいるし、そもそも幸福度などというようなものは個人が感じるものなのだ。こういうランキングが発表されるたびに、「幸福度」を計測する指標など存在しえないという理由で、ナンセンスだと感じざるを得ない。

木村達哉拝

追記
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