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ペッパーミルとアゲアゲホイホイ

2023.04.05(水) 09:00

今年の甲子園は山梨学院が優勝したのだけれども、地元関西人からすれば報徳の頑張りが心に残っている。ちなみに自慢で申し訳ないが、私は灘校野球部の監督を17年間務めている間に、中学の監督として報徳学園中学校には2回勝っている。今の荻野監督になってからは全く歯が立たなくなったが、その前の監督の時に勝利の美酒を、そして灘中生徒からの胴上げを、経験しているのである。

報徳の何が心に残ったかというと、グラウンドで土にまみれていた野球部の生徒たちには申し訳ないが、アゲアゲホイホイである。吹奏楽部が演奏する「サンバ・デ・ジャネイロ」に合わせてアルプスの控え選手たちが「エッサエッサ!アゲアゲホイホイ!もっともっと!」と叫ぶあれだ。

ご存じない方はYouTubeにたくさんのアゲアゲホイホイがアップされているのでご覧いただきたい。あれを見ていると実に愉快な気持ちになってくる。こっちまで一緒に踊りたくなってくる。ダンスの一体感はやはり美しい。声が揃っているところもいい。

春の大会前、WBCが行われ、ヌートバー選手のペッパーミルパフォーマンスが流行した。きっと甲子園でも選手たちがやるんだろうなと思っていたら、東北高校の選手が出塁した際にやった。それをアンパイアが咎め、またそれに対して同校の監督が否定的コメントを出した。

Twitterでは「相手のエラーで出塁したのにパフォーマンスもなかろう」とか「審判がうるさすぎる」とかいった呟きが飛び交っていた。私は、高校生の部活動に大人が介入するなよと思って興ざめしていた。高校生らしくないパフォーマンスと言って咎めるなら、くだらない「らしさ論」に成り下がる。では相手のエラーで出塁した選手がガッツポーズをするのは高校生らしいのか? そんな議論は本当にばかばかしい。大人の単なる感想に過ぎない。

甲子園の大会は、大人たちの都合により多額のお金が飛び交う。具体的には書かないが、高野連はなにかと管理主義でうるさく、昭和時代の学校教育の残滓で満たされている。報道サイドも含め、おそらくはさまざまな「うまみ」もあるのだろう。驚くほどに大人たちの大会なのである。

とは言っても、高校生の部活動である。主役は生徒たちであって、決して運営サイドではない。教育するのは審判ではなく引率教員である。審判はボランティアで大変だろうが、粛々とジャッジだけしておればよろしい。ペッパーミルが不適切かどうかを決めるのは引率教員である。教員の指導がよろしくなければ、外野席からケシカランというお叱りを受けるのは、学校の授業と同じである。

大人たちがアアデモナイコウデモナイとくだらない喧々諤々をやっている間に、子どもたちはアゲアゲホイホイを繰り返していた。私には「頼むから俺たちに自由にやらせてくれよ!」という魂の叫びのように聞こえて、実に痛快であった。

木村達哉

追記
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