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新しい言葉、古い言葉

2023.05.06(土) 12:00

英語にも死語や使われなくなった文法はあるのですかという中学生にしては知的な質問が届いた。日本語の場合、「チョベリグ」のような流行語はあっという間に消えるし、私が若い頃にはすでに使われなくなっていた「ハイカラな」という形容詞も別の言葉に取って代わられた。

逆に新しい言葉も生まれ続ける。特に現代のような新しいものがとてつもない速度で生まれ続ける時代には、以前なら聞いたことがなかった言葉が一般的な会話に飛び交う。「EBPM」や「KPI」といった言葉は言うまでもなく、よく知っているはずの「プラットフォーム」が「駅のホーム」以外の意味でも使われたり等すると、日本語しばりで喋れ!と言いたくなる人も少なくないのではないか。

ただ、こういった言葉がどうして生まれるかというと、決して英語かぶれしているわけではなく、日本語で表現しようにもかっちり当てはまる言葉がないというケースが多いのである。たとえば「ワーケーション」という言葉に当てはまる言葉を考えるに「ワークとヴェケイションを両立させる働き方で、ほれなんというか要するにやねぇ…」と説明することになる。

軽井沢で休暇を取りながらオンラインで企画書を練るための日本語が無いので、「ワーク」と「ヴェケイション」を合わせて「ワーケーション」でいいんじゃね?と誰かが創ったのであろう。なかなかわかりやすい新語だと思っている。

『夢をかなえるリーディング』のなかに英文で書いたが、英語ではkawaiiが新語として使われている。cuteと「カワイイ」のニュアンスが違うからである。英語に日本語の「カワイイ」に当たる言葉がないから、日本語をそのまま取り入れたのであろう。

で、英語の死語だが、動画でいくつか紹介したとおりである(こちら)。最初に述べたmuch moreなどは、私たちの世代は英語教員にmuch lessとセットにして覚えさせられたものだ。『ジーニアス英和大辞典』や『ロイヤル英文法』には、古い表現として掲載されているが、私の友人などはそんな英語はないと言い張る。いずれにしても、使われないのだろう。

言葉の勉強は面白い。が、外国語を勉強する場合、気を付けねばならないのは、あまりにも古い教材を使って勉強していると古い言葉を学ぶ可能性があるということである。much moreではないが、もうこんな表現は最近見ないという表現が満載の英語参考書や単語集が、日本の書店には並んでいる。話す英語がまるで「拙者、木村達哉と申し上げ候」といったニュアンスの古くて堅苦しいものであると、せっかく努力して覚えたのに笑われることになる。指導者の知識が古い場合、生徒が笑われることになるので、我々は習慣的に新しい表現や古い言葉にアンテナを張っておくべきだろう。

木村達哉

追記
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