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本当に英語力を高めるのであれば

2023.06.24(土) 07:00

今日は福岡で生徒たちのリスニング力とスピーキング力を向上させるための指導力セミナーがあり、登壇させていただく。コロナ前と比べて研修欲が落ちているのはどの企業のセミナー担当者もおっしゃることだけれども、参加してくださる約30名の先生方は意欲的だろうから、心を込めてお話をさせていただこう。

リスニングについてはこちらでも話したが、圧倒的にトレーニングが不足しているのである。私は啓林館と三省堂とアルクと朝日出版社とラーンズからリスニング関係の本を出しているけれども、単にドリルに答えているだけではまったく力が伸びないことはコラムや前書きなどに書いているとおり。

今もなお、英語の授業といえばほとんどがリーディングで(そのリーディングさえできない生徒たちが大多数なので避けられない部分があるのは承知しているが)、センター試験にリスニングが導入されて以来極めて多くの受験生がリスニング試験を通過しているのにも関わらず、日本人って英語ができるようになったとは感じられない。

英検はリスニングができなくても、現在の採点システムであれば余裕で合格できる。が、たとえば英検準1級に合格した人でさえも、自分は実はほとんど英語ができないという意識から逃れることはできないのではないだろうか。英語ネイティブと笑顔で会話できるレベルを目指すと考えると、準1級レベルがようやくスタートラインである。

ところがスタートラインレベルで大学に入れてしまうとすっかり満足してしまって、英語の勉強をストップさせてしまう人たちが少なくない。ましてや英検2級なんてのは駆け出しのビギナーでしかない。

英検を取得していれば合格できるという大学入試システムを採用していると、合格するための勉強に走る。力がないのに合格する。すると、実は英語がそれほどできない学生たちでキャンパスは埋め尽くされてしまう。

うがって考えるに、英検を入試の点数に組み入れている大学や高校あるいは都道府県は、要するに自分たちでは英語の試験を作る能力がないから、しょうがなく英検を採用しているのではないだろうか。つまり、教わる側だけでなく教える側も、実はたいしたことがないという状況なのではないか。

もしも文科省がもっと英語ができる国民を増やそうとするのであれば、大学入試を作成する側もしっかりとした問題を作り、入試にリスニングを導入し、入学してからも学び続けるカリキュラムを作成することが望まれる。

英検やGTECを英語4技能試験として導入したところで、そりゃ経済を動かすためならいいのだろうけれども、「日本人を英語ができる国民に」という目的が達成されることは、絶対にない。しっかりと語彙文法の知識を身につけ、極めて多くの文章を読み、聞いたり話したりするためのトレーニングをし、AIを使いながらでも英語で書いたり話したりしながら、少しずつ、しかし着実に、英語力は伸びるのである。今日のセミナーでは参加した先生方に私の授業を実体験してもらおうと思っている。

木村達哉

追記
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