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フィンランド政府、教育の失敗を認めるの巻

2023.09.04(月) 02:00

フィンランドの教育文化省(日本では文科省)が、過去20年間の学校教育を否定するレポートを発表した。日本ではフィンランドに追いつけ追い越せとばかりに同国の教育を称賛し、政治家や教育関係者が視察する例も少なくはなかった。が、この数年、フィンランド国内では自国の教育に否定的な報道が行われていた。

フィンランドが発表したレポートはこちら。英語が読める方はどうぞ。

要するに、2000年初頭から始まったフィンランド教育の凋落は顕著で、もはや最も良い教育が行われている国ではないと書かれている。フィンランドの若者たちが最も聡明であると言うことはできず、したがって徹底的な改革が必要であると。

加えてショッキングなのは、「何が教育凋落の原因になったのか、あるいは2000年以前の教育の何が良かったのかを、我々はどれだけ理解していたのか」という記述である。つまり、PISAの結果が良かった原因も、若い人たちの学力が堕ちた原因もわからないと書かれていることである。

日本だけでなく世界中の教育関係者がフィンランドの教育の素晴らしさを訴えてきた。多くの本が世界中で発売された。が、フィンランド自身がそれを否定したことになる。そもそもフィンランドの教育が賞賛されたのは、PISAで1位になったことが大きい。しかし、1位後は下落し続けているのだから、そこは無視すべきではなかったということだ。

日本では政府や文科省が教育の失敗を認めることはない。こういう姿勢は無謬主義(むびゅうしゅぎ)と呼ばれ、批判されている。現在では誰も口にしなくなったアクティブラーニングの導入もなかったかのようだ。小学校英語の導入が失敗しつつあるが、政治家も官僚も決して失敗とは認めないだろう。

それに比べればフィンランド政府の姿勢は素晴らしいと言えるけれども、1つ確実なのは世界中でもてはやされた「フィンランド教育」という目標が姿を消したということである。フィンランドがこれから学力が堕ちた若者たちをどうするのかを見続けるとともに、我々の国の教育を批判的に俯瞰視し、人材を育てる努力を怠らないことが肝要だと考える。

木村達哉

追記
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