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臭い物に蓋をする姿勢を見るにつけ

2023.09.07(木) 06:00

野党とメディアは権力者(与党)の監視役であると小学校で学んだ。が、この国においては当てはまらない。芸能事務所ジャニーズ関連の事件が報じられているけれども、そもそものスタートは週刊誌とBBCの報道であり、日本の大手メディアが重い腰を上げたのは随分後になってからのことである。

BBCでは児童虐待という言葉を用いて強く批判している。また、同事務所に所属するタレントがW杯ラグビー日本チームのアンバサダーを務めることをフランスの『ル・モンド』が批判している。その報道を世界中の人たちが眉をひそめて読んでいる。

が、日本のメディアが大きく取り上げることはほとんどない。海外からの声が届いて初めて、あぁ、これは自分たちも取り上げなければいけなくなってきたかもしれないなぁとのんびりゆっくり腰を上げているような始末であり、こんな老害に監視役が務まるはずがない。

政権に目を向けるに、木原官房副長官の妻が殺人を犯した件にしても然り。週刊誌と海外メディアは大きく報じているけれども、日本の大手メディアは臭い物に蓋をする姿勢を貫き続けている。エッフェル塔の前で馬鹿馬鹿しいポーズを決めているタレント上がりの役立たずな政治家たちへの批判にしても、SNSでの批判が大きくなってからの動きであった。

臭い物に蓋をし、長いものには巻かれ続ける姿勢を貫くメディアが監視役を務められるのか。今になってワイドショーのMCたちが自分たちの無責任さを恥じた発言をしているけれども、これからの彼らに期待している人たちがどれぐらいいるのだろう。テレビや新聞のレーゾンデートルはすでに堕落の一途を辿っている。したがってテレビの視聴率も新聞の購買数もどんどん落ちていく。

教育の失敗がこういうところに表出しているのだろう。以前にも書いたとおり、1950年代から徐々に国が教師を無力化してきた。今ではすっかり批判的精神を失い、お上に従う教員たちが聞き分けの良い人を大量生産してきた。無批判な子どもたちを如何にたくさん増産していくかが学校における最大の目標であり、眉間にしわを寄せて意見を述べる子どもたちは排除されてきた。

教員になりたいという人が激減した。学校に通わない子どもたちが激増した。いずれの場合も、要は学校がつまらないのである。学校が面白い場所であるなら、大人も子どもも学校に向かうはずではないか。学校は、個性重視と言いながらも個性を排除する場所なのである。

ヒトラーを批判しなかったドイツは世界中から批判され、攻撃されて、しかし自浄作用を発揮しながら徐々に立ち上がってきた。これからの日本はどうだろう。そして、長いものに巻かれてばかりの大人を見て、子どもたちは自分もああなりたいと目を輝かせるのだろうか。教育の失敗が誤魔化してばかりのジャニーズ事務所と政権およびメディアの衰退を産んだのであれば、責任の一端は私にもあるということになろう。

木村達哉

追記
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