BLOG / ブログ /

  1. HOME
  2. ブログ
  3. AIと英語教育

AIと英語教育

2023.11.26(日) 08:00

11月26日。新潟空港からタクシーに乗った。毎年恒例となった新潟県の英語指導者セミナーである。今回のテーマはAIと英語教育。英語の力を伸ばすのにAIが欠かせないというほどではないが、あると便利っちゃ便利なので、前半はそれについて説明した。

AIは、英語にせよ日本語にせよ、読み書きとの相性が良い。ChatGPTなりBardなりに文章を読ませたり書かせたりすると数秒後には翻訳してくれる。英語→日本語にしてもその逆にしても、DeepLやDeepL Writeを併用すると「ほとんど」ミスのない文章ができあがる。

学校ではなにができるのかという問題が最近よく議論されるが、なによりも知性を磨くこと、教養を高めることが大切である。釜で米を炊いていたのが炊飯器になれば仕事が便利なのと同じで、AIを使用している人が優れているわけではない。

AIの力を借りなくてもやっていけるのだという向きはそれでもよろしい。ただ、AIがあるとわざわざ英作文の添削を人間の教師に頼まずとも自分でできるし、全訳をしなくてもコピーペーストすればいいのだ。機械がやってくれるようになったのだから上手く使えばいいと思う。

ただ、では人間は何をするのかという話になる。試しに広島の原爆についてAIが書いた英文と私が書いた英文を先生方に比べてもらったが、全員が私の文章に軍配をあげた。「正確さ」はAIを使えばいいが、「人間味」は人間の圧勝である。

加えて、話す聞くとAIは相性が悪い。ポケトークのようなものは開発されているが、かなり大きいタイムラグが生じるので普通の会話レベルでも使えない。その点で、英語教育の中心が話す聞くに移行していくのではないかと推察している。

ただし誤解のないように書いておくと、話す聞くが中心となると、今よりも恐ろしく高いレベルの授業を展開させねばならない。それを政権与党と文科省が望むかどうかはわからないが、私の勉強会に参加される先生方にはそれがどうしてなのか、ご理解いただけるだろう。

ただ、英語学習に興味が薄い生徒の場合、やはりそれなりに勉強しているようでも話せないし聞き取れないというのが理由であり、その点では話せるように聞けるようにしてやると、勉強が面白くなってくるものである。教科書を粛々と進めるのが一番つまらない。外国語学習の醍醐味はやはり話せる喜びにあるのではないだろうか。

木村達哉

追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。週2~3通のメルマガが私から届きます。勉強について、英語について、幸せについて、人生について、お金について、書いています。