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面陳列

2021.04.06(火) 03:11

皆さんが書店さんに入ると、当たり前のようにたくさん本がありますでしょう。何を買ったらいいのかわからずに手ぶらで帰宅した経験をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思うんです。英語の本ひとつとっても、潤沢にそろっていると言うよりむしろ秋の木に成る柿のようで、どれを手に取っていいのかわからない(できれば私のを手に取ってください)。

作家は本を出したからといって書店さんに置いていただけるわけではありません。本を出したのに書店さんに置かれないの?と思われるかもしれませんね。そうなんです。一年間におびただしい数の本が出版されます。そのうちのどれを棚に置いてどれを置かないかは、書店さん(厳密に言えば担当者さん)にゆだねられているのです。下の写真はブックファースト西宮店さんです。

写真の一番上に私のサイン色紙があります。そして一番下に三省堂から出しました『毎日続ける!英語リスニング』が2冊並べて置かれています。こういうのを専門用語で面陳列(略称は面陳)と言いまして、もっともありがたい置かれ方です。置いていただいているだけでありがたいのですが、面陳にしていただけるなんて、もうあなた!店長さんや担当者さんに「今すぐ来て店を手伝え!」と言われれば、はい!かYes!以外の返事はできないというものです。

こちらはジュンク堂書店三宮店さん。サイン色紙と『毎日続ける!英語リーディング』を面陳で置いてくださっています。ここまでして売れなかったらつらいじゃないですか!だって面陳にするとそれだけで棚の面積を余計にとるんですよ。皆さん、自宅の本棚をすべて面陳で置いてみてください。ものすごくもったいない本の置き方になるでしょ。たくさん置こうと思ったら、面陳を減らすことです。

面陳で置いているにもかかわらず、その本があまり売れなかったら?

はい、それはですね、作家としては腸が断たれるぐらいに悲しいことになるわけです。そうならないように、出版社の営業担当者や編集者がいろいろと工夫をして、書店さんや取次書店さんにご挨拶まわりをし、皆さんに本を買っていただくために一生懸命になっているのです。私などは書店さんには年がら年中行っていますが、あぁこの書店さんは面で置いていただけてないのかと、肩を落として帰宅することもけっこうあります。

書店さんの棚をなんとなく見ていただくとわかると思うんですが、面陳や平積み(棚の下のところに表紙が見える形で積んであるものを平積みと呼びます)になっている本のほうが目に入りやすいでしょう。作家としても、Aという書店さんで木村先生の本が面陳だったよ!とかBでは平積みだったよ!とか聞きますと、それならスキップしながらご挨拶に行っておこうということになるわけですね。

書店の皆さん、いつも本当にありがとうございます。日々の仕事を手伝うことはできませんが、ご挨拶にお伺いいたしますので、お忙しいなか恐縮ですが、よかったら少しでもお時間を割いていただけますと幸甚の至りです。

木村達哉拝