| 出版社 | 新潮文庫 |
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| 著者 | 浅田次郎 |
リストラされたカメラマンと場末のストリッパーの刹那的な、しかし深い哀情を描く「あじさい心中」、マミーの浮気と近所の薔薇泥棒をペーソスと笑いいっぱいに描く「薔薇盗人」、親友の死を前にして剛腕経営者に起きた死生への惑いを描く「死に賃」など、浅田次郎一流の筆致で描く短編集。
「まったく純粋な気持ちで、三島の死を探求するために」陸上自衛隊に二十歳で入隊した浅田次郎。13歳で初めて「小説ジュニア」に投稿して以来、三十歳を過ぎるまで、群像・文學界・新潮・文藝・すばる・オール讀物・小説現代と、およそ目に触れる限りの新人賞に応募するも、ことごとくボツとなった。
今では日本を代表する小説家となった彼が「僕の頭の中ではいまだに三島由紀夫の亡霊みたいなものがさ迷っていて、それが小説のかたちに化けて出てきてしまったという感じ」と述べた本作をじっくり味わいたい。