主人公は成瀬あかり。周囲の人たちを明るく照らすようにとの願いを込めて名付けられました。成瀬の魅力はたくさんありますが、なんと言っても他人の評価や常識に左右されない強さは最大の魅力です。彼女は突拍子もない目標(例えば、「200歳まで生きる」など)を周囲に堂々と口にし、目標達成のために本気で取り組みます。その姿は一見変わり者に見えますが、他人を否定することなく、自分の「好き」や「信じるもの」を大切にしている点が印象的です。そんな成瀬の言動は、周囲の人々の心を少しずつ動かしていきます。
シリーズでは、成瀬本人だけでなく、彼女を見守る友人や同級生、関わる人々の視点から物語が描かれます。成瀬と接して、自分の考え方や生き方を見つめ直していく登場人物たちの姿は、読者自身にも重なることでしょう。
また、滋賀県大津市を舞台にしたリアルな地域描写や、くすっと笑える会話、短編連作形式による読みやすさも、このシリーズの大きな魅力です。重すぎず、それでいて心に残るテーマが詰まっているので、普段あまり本を読まない人にもおすすめです。
「成瀬」シリーズは、同調圧力を感じたりして周囲に合わせることが当たり前になりがちな現代で、「自分はどうありたいのか」を問いかけてくる作品です。成瀬のぶれない生き方は、読む人に勇気を与え、前向きな気持ちにさせてくれます。
タイトルには「成瀬は天下を取りにいく」を挙げましたが、『成瀬は信じた道を行く』、『成瀬は都を駆け抜ける』の三部作です。完結してしまい、もう成瀬に会えないのかと思うと残念やら寂しいやらです。本屋大賞を受賞した圧巻の青春小説をぜひ!