出版社 | ちくま文庫 |
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著者 | 中村哲 |
2019年12月、アフガニスタンで武装勢力に襲撃され、お亡くなりになった中村哲医師の著作です。いったんは絶版になっていた本ですが、中村先生のご逝去に際して復刊となりました。アフガニスタンではカカ・ムラト(中村のおじさん)と呼ばれ、人々に親しまれていました。九州大学医学部を卒業され、国内の病院で勤務。パキスタンに赴任したあとはハンセン病を中心とする医療活動に従事されました。
アフガニスタンに拠点を移されたあとは、水があれば多くの病気と帰還難民問題を解決できるとして、25キロを超える用水路を建設し、人々が暮らしていける基盤をお作りになります。また、住民たちが自分たちの力で用水路を作ることができるように、学校や教育施設を建設されていました。
グローバル人材というのはこういう人のことを言うのです。外国語はそのために学ぶのです。実に惜しい人材を亡くしました。本書ではアフガニスタンの戦争や混迷について、鋭い筆致で表現されています。また、偏った国際協力や形だけの支援について、厳しく批判的に書いておられます。是非とも手に取っていただきたい一冊です。