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満潮の時刻

出版社 新潮文庫
著者 遠藤周作

著者の遠藤周作先生は灘中学校の卒業生です。ただし、灘高等学校には進んでいません。成績が悪くて中学卒業後には浪人生活を経験されているのです。広島高校、浪速高校、甲南高校などを受験されていますが、全て失敗。それが没後もその作品が読み継がれている大作家になるのですから、人生はどうなるかわかりません。

遠藤先生と言えば『沈黙』、『海と毒薬』、『わたしが・棄てた・女』などが有名ですが、遠藤作品の根底に常に流れている死への恐怖と信仰心の両方が、この『満潮の時刻』にはもっともバランスよく絡み合いながら描かれていると思っています。死に直面した人間の気持ちが見事に描写されていて、われわれが人生を深く考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

僕は自分のエッセイ『人生の授業』の中でも書いたとおり、小学校4年生のときに死について考える機会を得、その後、現在に至るまで遠藤先生の諸作品を何度も読み返すことになったのですが、同じような感性を持っている人たちに是非読んでほしいと願って紹介しました。