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偏差値70の甲子園

出版社 集英社文庫
著者 松永多佳倫

僕は灘校の教員時代、23年間を通じて野球部の顧問を務めていました。そのうち17年間は監督としてベンチからサインを送っていました。いろんな人たちから、灘校生も野球をやるんですね、部員数は少なかったんでしょう、苦労されたんじゃないでしょうか等など、さまざまな好奇心混じりの質問を投げかけられます。

実際のところ、野球部員の数は中学校と高校を合わせるとかなり多かったですし、神戸市ブロック大会や私学大会で4度の優勝監督になりました。そりゃ勝つためにそれなりには苦労しましたが、なによりも灘校野球部の生徒たちは目標が明確ですし、負けん気の強い生徒たちばかりですので、その部分ではまったく苦労しませんでした。

本書では湘南高校、北野高校、札幌南高校、刈谷高校、国立高校、三国丘高校など、東大合格者を毎年輩出している偏差値70以上の公立高校の野球部を取り上げています。甲子園の優勝経験がある強豪私学の多い大都市圏でいかに勝ち抜いていくのか、そして東大に合格し、プロをも目指す選手を育成するための知られざる指導法や練習法とはどのようなものかに焦点を当てた野球ノンフィクションです。著者の松永多佳倫さんの軽妙でカジュアルな文体は非常に読みやすく、読書慣れしていない人でも読めますので、一度手にされてみてはいかがでしょう。また、類書である『偏差値70からの甲子園』では松山東高校、濟々黌高校、彦根東高校、佐賀西高校などが取り上げられていますので、本書と合わせて読んでみてください。