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目の見えない白鳥さんとアートを見にいく

出版社 集英社インターナショナル
著者 川内有緒

タイトルに驚きました。目の見えない人がアートを見るってどういうことだろうと興味深く読みました。美術館に足を運ぶと、車椅子で来場されている方は時々お見掛けしますが、目の見えない方はどうだろう。もしかしたら、目の見えない人は美術館には来ないだろうという僕の中の偏見のせいで、そのような方が見えていなかったのかもしれません。この本を読みながら、このような自分の中の偏見やエゴに気づかされることが何度もありました。興福寺で白鳥さんと一緒に仏像を観るワークショップ開催の場面では、僕は何度も見た仏像なのに、今まで気づかなかったことに気づく箇所が多く、「見てるつもりで見えてない」ことを白鳥さんを介して理解することができました。

皆さんは美術館に行かれますか?僕は美術館や博物館が大好きで、新聞広告に掲載される展覧会の告知を見つける度にチケットを購入し、訪問の予定を立てます。今は京都国立近代美術館で開催中のルードヴィヒ美術展を楽しみにしているところです。この本を読んで以来、僕は常に心の中にいる白鳥さんにどんな絵なのか、どんな印象を受けるのかなど白鳥さんと会話をしながら鑑賞するのが習慣になりました。

想像力はとても大事ですが、自分の経験にないことは想像にも及びません。しかし、本や映画などをとおして経験することで、聴覚や視覚などに障がいをお持ちの方の困難や要求を想像することができるのではないかと思います。