GOOD READS / キムタツがオススメする本のご紹介 /

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日輪の遺産

出版社 講談社文庫
発売日 1997年7月14日
著者 浅田次郎
料金 935円 (税込)

百田尚樹の『永遠の0』を生徒たちに紹介した際、「これまであまり戦争を扱った本を読んでこなかった」と書きました。実際、どうも戦争ものは『火垂るの墓』以外、ほとんど手を伸ばしてこなかったのです。なぜなんだろう。もしかすると沖縄や広島の方々と触れ合っているうちに、あるいは鹿児島の知覧を訪れたりなどしているうちに、戦争に対する意識が強くなりすぎて、フィクション(作り物)には気持ちが向かなかったのかもしれません。

その反動でか、あるいは自分の中に新しい興味が芽生えたのかは定かではありませんが、とにかく戦争を扱った書物を乱読していた時期があります。この本はフィクションではあるのですが、時代考証を含めてかなりリアリティーのある内容となっています。この本の裏表紙には「近代史ミステリー待望の文庫化」と書かれていますが、そして確かにミステリーといえばミステリーには違いないのでしょうけれども、しかし根底にある人間の営みに対する深い洞察を読み取り、自分の人生や生き方に対して思いを馳せてもらえればと思います。

戦争が終わるまさにその日と、そして我々が生きる現代とが2本立てになってストーリーが進んでいきます。そして、最後にそれらが見事に一本化し、その瞬間に全ての謎が解けます。浅田作品を敬愛する私からの最高のプレゼントです。