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ゴリラ裁判の日

出版社 講談社
著者 須藤 古都離

ヒロインの「私」、ローズ・ナックルウォーカーは、アフリカのカメルーンで生まれたニシローランドゴリラ。アメリカ式の手話を完璧に習得し、手話の動きを忠実に音声変換するグローブを得て、人間と会話ができるようになった。しかし、ローズを突然の不幸が襲う。動物園で巡り会ったばかりの夫オマリが射殺されてしまったのだ。柵を越えて落ちた人間の子を救うために、である。夫の死に納得がいかないローズ。彼女はついに、人間たちを相手どって裁判を起こすことにした。

2016年にアメリカの動物園で実際に起きた「ハランベ事件」がモチーフになっている。動物と人間の関係性、命の重さ、そして社会の不公平さを浮き彫りにするリーガルサスペンスである。裁判の様子や登場人物の言動からは、人間が無意識のうちに持つ先入観や、自分に都合のよい判断をしてしまう弱さが描かれている。人間の在り方について、社会の有り様について、考えることになる作品で、学校の探究活動に生かしていただきたく思う。第64回メフィスト賞を満場一致で受賞した須藤古都離のデビュー作『ゴリラ裁判の日』をどうぞ。