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ヤンキーと地元

出版社 筑摩書房
著者 打越 正行

社会学というのはなかなか面白い学問で、私の学生時代などは「阪神ファンと巨人ファンの気質の違いに関する考察」や「東京と大阪の下町に住む人々の気質の違いに関する考察」などを真剣に調査している学生たちがいました。私は文学部英文科で、『ガリバー旅行記』や『エマ』など、専門が風刺文学だったこともあって個人的にはあまり面白いとは言えない本ばかり読んではうんざりし始めていたので、社会学を専門にしている友人たちを羨ましく思っていました。自分にはあっちのほうが向いていたんじゃないかと。

本書は相当な熱量を持ってリサーチと取材が行われ、そのうえで書かれていることが非常によくわかります。沖縄の暴走族、建設会社、風俗店…週刊誌の記事のように下品で短時間の取材ではなく、著者みずからが暴走族とともにバイクを走らせたり、建設会社にどっぷりと入り込んでともに数年間の生活を送ったりすることで、沖縄社会の極めて精緻なレポートを完成させています。沖縄社会に関心のある人、社会学に興味のある人は必読です。