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雪国

出版社 角川文庫
著者 川端康成

『雪国』といえばなんと言っても書き出しが有名です。あなたも言えますよね、この小説の極めて有名な書き出しが。では、声に出して言ってみてください。どうぞ。

この書き出しのために誰でも知っている小説ではありますが、では本当にその一節を言える日本人はどれぐらいいるのでしょう。そして、ノーベル文学賞という、今となっては世界的文豪とも言える村上春樹にさえ与えられない賞を獲得した日本人作家の書いたこの小説を、本当に読んだことのある日本人はどれぐらいいるのでしょう。

私が初めて『雪国』を読んだのは小学校5年生の夏だったと思います。50年ぶりに表紙を開きました。そして、世界的に有名になった「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」を音読しました。動けなくなりました。「夜の底が白くなった。」とはどういうことなのかを考え、自分なりの結論を出し、そして「汽車が止まった。」の先に進んだのは3日後か4日後でした。小学生のときは何も読めていなかったのだなと思いながら、こんなに短い小説なのにけっこうな時間をかけて最後のページまで辿り着きました。

読んだことのある方も、実は読んでないんだよという方も、川端先生の美しい日本語描写と、そして昭和時代の貧しかったけれども美しかった日本の風景と人々に触れていただきたくて推薦しました。是非読んでみてください。