兵庫県立福崎高等学校で講演。対象は高校2年生。同校最後の生徒たちである。同校を訪問するのは、これが4年連続4回目。校長先生とはかなり古くからのお付き合いであるが、年に一回お会いするようになって、より親しくなった。
担当のK先生はある私立高校の卒業生だが、その学校でも『ユメタン』をはじめとする拙著をお使いになっていたとのこと。いろんな出版社の単語集や問題集がさまざまな学校で使われている。それぞれの生徒たちに合うものを購入されているのだが、生徒時代に使っていた拙著を教員になっても使ってくださるのは嬉しく思う。
単語集や問題集は教科書とは違う。学校では書店で購入することになる。私立の場合には潤沢な予算で多くの教材を購入できるが、公立の場合には予算が極めて限られている。その中である一冊を買う前には、先生方がお集まりになってあれこれ吟味し、高く評価したものをお選びになる。単に「生徒時代に使っていたからコレ」「前から使っているからコレ」などという先生は少数派である。プロの目は厳しいのだ。その点で、拙著を選んでいただけるのは物書きとして栄誉なことである。

例年どおり、基本的な英語の勉強法について2コマの講演を行った。言語を勉強する場合、単語と文法の知識がなければ何も始まらない。ただ、単語だけを覚えるのではなく、その言語を話せるようになるように学ぶという意識がないと、単語テストのための単語学習になってしまう。
文法も然り。四択問題のための文法学習では定着しない。英文法の場合には英語で、独文法の場合にはドイツ語で、話す場面を想定しながら勉強するのが基本的姿勢である。世界中どこにも四択で話す人などいない。四択クイズは高校3年生で終わり。あとは話せるか聞けるかだけの世界が待っている。リアルワールドで使えるように学ばねばならない。
こうやって覚えるんやでと説明すると、生徒たちは大きい声を出していた。「使う」というのは「相手に声が届く」ということである。ある程度の声量がないと伝わらないよ、と話すと大きく頷いていた。男子も女子も楽しそうだった。
この生徒たちが卒業すると「福崎高等学校」という100年以上続いてきた歴史ある名前が消える。大谷さんは野球を、辻井さんはピアノを、それぞれ勉強されている。あなたは何を学ぶのか、学んだものを人生にどう生かすのかを考えて、幸せな人生を生きていってください、と最後に申し上げた。帰りの電車で生徒たちから「ありがとうございました!」と声をかけられた。こういう瞬間が一番嬉しい。
木村達哉
追記
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