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お気遣いないよう

2021.05.19(水) 04:30

灘校を退職して1か月半が経ちます。先日、ある方から「辞めて良かった点」と「良くなかった点」を挙げてくださいと言われたのですが、「良くなかった点」は正直まったくないですとお答えしました。中間考査が今日から始まったと元同僚からLINEがあったのですが、採点しながらも「絵を描きたいなぁ」とか「本を読みたいなぁ」とか「リスニングの勉強、僕がしたいのになぁ」などと思ったものです。生徒たちからは「採点が遅い」と叱られてばかりいました。

今は起きてから寝るまで自由ですので、これで文句を言ったら神様から叱られます。

自由には「堕ちる自由」も含まれます。サラリーが入ってこなくなりましたので、今まで以上に努力しないといけません。でも、物書きですので、努力すると言っても本を読んだり書いたりするしかないんですよね。書店さんにご挨拶にお伺いするぐらいのことはいつもしていますけど。だから、もっともっといい本を出そう、書いたことのない本を書こう、今年中にちゃんと絵本を出そう、そういうことを考えながら生活しています。

辞めて良かった点というわけではありませんが、いろんな方々がいろんなものを送ってくださるんです。サラリーが入ってこなくなって、さぞかし木村はひもじい思いで指をしゃぶりながら生活しているんだろうとお考えなのかもしれません。今週も広島の黒瀬先生がご覧のとおり、トマトを送ってくださいました。僕はトマトが超が付くほど好きですので、箱を開けてかぶりつきました。トマトのもっとも正しい食べ方は、そのままかぶりつくことだと、子どもの頃から信じております。

ちょくちょく「なんでも食べますか」とか「嫌いなものはなんですか」とか聞かれるんです。これ、答えにくくないですか? なんだか贈り物をする前提でお尋ねになっているんだろうなと思うと、答えに窮するんです。まさか「なんか送ってくださるんでしょ!」とか言えないじゃないですか!

前者の質問に対しては「はい、らっきょう以外はなんでも食べます」と答えるようにしています。後者です、問題は。正直に「青魚は塩焼きと唐揚げ以外ちょっと苦手ですね」と答えたとします。ところが、その方はもしかすると今から青魚を贈ろうとされているかもしれないじゃないですか!

考えすぎ?

そうかもしれないね。

なので、すみません、皆さん。お気遣いのないようにお願いします。もちろん嬉しいです。「いただくものは夏も小袖」という諺のとおり、なんでも喜んで頂戴します。が、なんだかお世話になっているのはこちらなのに、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

加えて、僕からの返礼は、本とかユメタンクリアファイルとかユメタンステッカーとかしか思いつかず、喜んでいただける自信が20%ぐらい、つまり中日ドラゴンズの得点圏打率程度しかありません。どんだけ低いねん。

というわけですので、要するに言いたかったのは、本当にお気遣いのないようにお願いしますということです。物書きとしては著作を大事にしていただければ、何より嬉しく思います。

木村達哉拝