6月2日。教え子の出版社から本を出すことが決まり、現在は鋭意執筆中である。東大理Ⅰに進んだ彼だが、灘校在学中からなにかとイベントごとが好きであった。そういうタイプは大学在学中に起業することも多いのだけれど、彼も例外ではなかった。
昨年春にいよいよ法人化、つまり株式会社にしたという。
起業というのはつまり、大学時代から組織のトップにいるということ。どこかに勤めて誰かの下で働くのが嫌というわけではないのだろうが、昭和脳としては心配になる。人さまを使う立場に立ったとき、使われた経験が役に立つからだ。使われた経験があまりないと、使われる側の苦悩が理解できないことがある。
私の父などは勤め人時代に先輩や上司とことごとくそりが合わず、自宅では文句ばかり愚痴ばかりであった。自分が長になったら今度は人を育てられず、毎晩の愚痴の対象は部下へと移った。ちっとも幸せそうじゃないが大丈夫かなと思いながら父を見ていたが、案の定というべきか、組織は崩壊し、倒産した。
教え子と打ち合わせをしたその日に契約書ができましたと送ってきた。さすが、東大は仕事が速い。書類に目を通したが、どこにも瑕疵はない。出版業界の慣例では執筆後に契約を交わすことが多いけれども、こうして先にやるべきことをやっておくと安心である。いくらもらえるんだろうなということもない。
署名も印鑑もデジタルだった。送られてきたものに捺印してそれを返送してという手間はない。このあたりの速さも安心できる。以前、誰だったか失念したが、速さは情熱の高さをあらわすとおっしゃっていた。まさにまさに。その教え子の情熱が感じられ、ここで出せる本は全部出したいなという気持ちになった。
予定では9月に脱稿し、来年3月には書店に並ぶことになっている。彼の会社(こちら)が発展し、繁栄していくことを切に望む。もちろん彼の出版社から出す私の本が売れることも。
木村達哉
追記
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