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邂逅

2021.10.07(木) 09:13

佐世保北中学校・高等学校さんで生徒たちに話をさせていただいて、昨夜はいい気分でホテルに入りました。さすがに懇親会はありませんでしたので、駅の横にあった大善というちゃんぽん屋さんにひとりで入りました。いやぁ、めちゃくちゃ美味しかったです。関西でも長崎ちゃんぽんのチェーン店はありますが、ぜんぜん違うんですね。いやもう筆舌に尽くしがたい美味さ!

朝からお散歩。佐世保駅って駅舎を出たら、目の前にどーんと港が広がっているんですね。へぇ、これはいいなとひとりごちながらぶらぶらと歩いていました。犬を5匹も連れているおじさん、笑顔でジョギングをしている老夫婦、釣り竿とクーラーボックスを重そうに抱えているのに足取りは軽やかな釣り人たち。僕は何をするでもなくベンチに腰掛けて、佐世保の風景を目に焼きつけておりました。こういう時間はなにより大切です。

さて、そろそろ天草に移動するかと腰を上げ、ホテルをチェックアウトして、佐世保駅に向かいました。と言ってもホテルを出て、道を渡れば駅です。歩行者用信号が青に変わるのを待っていました。と、見知らぬ男性が、もしかしてキムタツ先生ですか?と。はい、木村ですがと言うと、いつもブログを拝読していますとおっしゃる。佐世保北高校で講演をされたんですよね、わたしも聞きたかったですと、とびっきりの笑顔で。

それでふと思い出しました。あれは東日本大震災の2年後でしたか、いつもの教育支援ボランティアをするために福島駅に降りたったときのことです。駅前の百貨店を歩いていると、ひとりのおばあさんが僕に声をかけてくださいました。「キムタツさん、また来てくれてるんだねぇ、ありがとうねぇ」と涙を流しながら。

当時の福島はまだ震災の爪痕が生々しく、したがって多くの人々の心にも夕暮れ時のような影が長く伸びていました。おばあさんは僕の手を握り、何度もお辞儀をしながらお礼を言ってくださいました。僕の目にも、我知れず、涙が溢れていました。そんなことを、今朝は思い出していました。

その男性としばらく立ち話をし、握手をして別れました。現在は天草におります。その男性のおかげで、軽い心で一日を過ごすことができました。オンラインは便利です。しかし、情報こそ伝わるのですが、温かさまでは伝わりにくいんですよね。人との邂逅こそが大切だと思っています。明日は天草高校の全生徒たちに講演をさせていただきます。想いよ、伝われ!と念じながら。

木村達哉拝