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東大生からのメール

2023.05.01(月) 08:00

東大生からメールをもらった。今年の4月に入学した学生で、『新ユメタン①』と『新ユメタン②』は学校で配付されたものだが、それに加えて『東大英語リーディング』を隅から隅まで読み尽くし、キムタツチャンネルで説明されているとおりに勉強したとのことであった。

『東大英語リスニング』は毎年12000部程度売れている本だが、この『東大英語リーディング』のほうは頑張って作った割りに、という本である。作家からすれば売れる本は「ありがたい本」だが、一方で売れない本には「申し訳ない本」に分類され、まるで成績の悪い我が子を見る思いである。表紙を見るだに、お前も不憫な奴よのぉと話しかけたい気持ちにかられる。

閑話休題
その学生のメールにあった「隅から隅まで読み尽くし」という言葉に背筋が伸びる思いがした。昨今はYouTubeなどで得た情報で、簡単に単語集や問題集をとっかえひっかえする生徒がいるが、この東大生は学校で与えられた『新ユメタン①』『新ユメタン②』を「隅から隅まで読み尽くし」たのである。また、自分で購入した『東大英語リーディング』を同じく読み尽くしたとあった。

とっかえひっかえでは英語力のみならず、どんな教科科目であっても伸ばすことなどできない。自分のことをよく知る教員から渡された本を軽視し、どこの誰だかわからない他人が推薦している本に手を伸ばし、その推薦者には合っていたのかもしれないが自分の学力には合致していない本を続ける無意味さに気づかない受験生は多い。

ネット時代の弊害だと言えばそうなのだろうが、私のYouTubeチャンネルを含め、ネットで拾った情報を鵜呑みにするのは危険極まりない。あなたに合っているかどうかは実物を見て、あなた自身が決めねばならないのである。「これさえやれば東大に合格できる!」と言っている(書いている)人は単に、迷える受験生やその親に刺激的に訴えることで、再生回数や表示回数を稼ぎたいのである。

そのあたりのリテラシーこそ情報の授業で教えるべきではないかと思っている昨今、上記の東大生からメールが届き、よく頑張ったなと思うとともに、たかが東大に合格したぐらいで満足せず、これからの人生で出会う種々の選択肢でも自分の価値観で判断しながら、人々を幸せにするための人材へと育ってほしいと願っている。

木村達哉

追記
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