県立那覇西高校にお邪魔するのはおそらく３回目。進路の知念先生から依頼をいただき、学びについて高１と高２の生徒たちに１コマだけ話をしてやってほしいということだった。「学びについて」というざっくりとしたテーマということは、要するに何について喋ってもいいということだろうと、空港近くの同校まで出かけていった。

「勉強」と二字熟語を目にすると英語やら数学やらを思い浮かべて、勉強なんて嫌いだ！と多くの子どもたちは思う。が、僕は絵本『あなたのちからになりたくて』を出版するために、絵の専門学校に３年ほど通って絵を勉強した。今は沖縄の書道教室に、そんなにしょっちゅうは通えないにしても、足を運んでいる。

大谷選手は野球を勉強し、石川遼選手はゴルフを勉強し、先日お亡くなりになった坂本龍一氏は音楽を勉強し、料理人は料理を勉強し、物書きは文章を勉強し、俳優は演劇を勉強し・・・いろんな人たちがいろんな種類の勉強をして社会は成り立っているのである。勉強は英語や数学であるとする場合の「勉強」は、かなり狭義だと言える。

英語も数学も野球も料理も演劇もなにもかもすべてできるような超人はひとりもいない。せめて生きているうちにそのうちのいくつかはしっかりと勉強し、そのうちのひとつぐらいは誰にも負けないものを作って死のうと考えるほうが健康的ではないだろうか。那覇西高校の生徒たちにはそういう話をした。

生徒たちはパワーポイント資料を凝視しながら、しっかりと聞いていたように思う。すべてを極めることはできないが、１つぐらいは…と言うと頷く生徒たち。今日の講演が彼ら彼女らのハートに突き刺さり、では何を勉強しようかなと考えるようになればいいなと思っている。

木村達哉

追記
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