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豪雨なのに登校するの?

2023.09.05(火) 11:00

灘校では神戸市、大阪市、芦屋市などに大雨洪水警報などが出ていて、朝7時に解除にならない場合には自動的に休校となった。職員室では冗談まじりに「明日の朝7時に警報でないかなぁ」と、教材研究が終わらない教員が独り言ちていた。

台風が近づいてくると生徒たちもよくわかったもので、何日後かに休校になるはずだからそこで試験勉強ができるぞなどと話していた。私たちもその日に中間考査を作ればいいやと思ったものだ。休校になった授業はそのままなくなるので、冬休みなどの長期休みがそのぶん短くなるということもなかった。

ある学校でその話をしたら、いい学校ですねぇと先生方がため息まじりに仰る。その学校では暴風警報や暴風雨警報でも出ない限り休校にはならないらしい。恐ろしいことだ。大雨警報や洪水警報って外に出ると命が危険なときに発令されるんですよと言っても、そう決まっているのでとのたまう。職員会議で議論して変えたほうがいいんじゃないかと言っても、顔を見合わせてため息をつくばかり。

そうか、誰か死なないと動かないんだなと思った。そういう学校は、生徒か教員が大雨の中を学校に向かっている途中で濁流に飲み込まれることを想像していないのであろう。授業数を確保する前に、なにより命を大切にせねばならないことなど当然である。

学校が岐路を迎えている。少子化は言うまでもなく、通信制高校が激増し、それを文科省が後押ししていることで、学校のサイズはどんどん縮小している。私が教員のときに灘校を高1で退学したある生徒は「だって通学時間が無駄ですやん」と言った。通信制に行けば学校に行かずとも高卒の資格は取れる。勉強は自分でもできる、と。

それは間違いないのだけれども、それでもやはり学校が魅力的だからこそ毎日通う生徒が今のところまだ多いのだと考えている。が、上に書いたような「誰か死なないと動かない」学校の場合、これからかなり苦しい学校経営を迫られるんじゃないだろうか。

木村達哉

追記
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